蔓延する陸上界でのドーピング、ロシアに続きケニアが炎上中

 陸上競技においてロシアによる国家ぐるみのドーピングが世間を騒がせましたが、その疑惑が長距離王国として知られるケニアにも飛び火したことが BBC で報じられています。

 ケニアは WADA (世界アンチ・ドーピング機関)の定めた期限内に疑惑が疑われる選手がクリーンであることを示せなかったため、場合によってはリオ五輪からの追放も現実味を帯びてきたと思われます。

 

 ロシアやケニアなど今回の陸上競技におけるドーピング疑惑はいずれも中長距離種目に集中しています。

 この2カ国はいずれも、それらの種目で存在感を発揮して来た国だったのですが、その強さの秘訣が “ドーピング” によるものだったことが現実味を帯びてきました。仮にそうだった場合、同様に長距離界で存在感を放っているエチオピアの選手たちはクリーンなのかに焦点が移ることは必死と言えるでしょう。

 ケニアの選手が関係するドーピングは次のようなものです。

  • 2011年以降、40選手以上がドラッグテストに落ちた
  • 2016年1月に18名のケニア人陸上選手がドーピングで出場停止処分を受けた
    彼ら全員の処分期間は合計で55年になる
  • その中で最も有名なのはボストンマラソンやシカゴマラソンで勝ったリタ・ジェプトゥー
  • リリアン・モラア・マリータがステロイドの使用で最長の罰(8年)を受けた

 この状況ではロシアと同じく “国家ぐるみ” の疑いを受けても不思議ではありません。少なくとも、“チームぐるみ” であることは確実と言えるのではないでしょうか。

 

 日本ではオリンピックでメダルを獲得することによる恩恵は他国と比較すると少ないものです。知名度が上がり、テレビに(その競技の)解説者として起用されるケースが大半です。

 解説者の職があると言っても、競技そのものがオリンピック以外でも注目される人気種目でなければ生活することは苦しいですし、テレビ局との間に “コネ” を持った人が優先起用されることも考えられるため、メダルを取るための手段は問わないと考えるアスリートは少ないと思われます。

 しかし、オリンピックでのメダル獲得に国の威信をかけている国や、メダル獲得によって生活水準が大幅に向上することが約束されている国ではドーピングを断り切れなかったり、手を染めるケースが後を絶たないでしょう。

 そのことを踏まえた上で、陸上界はドーピングをした場合への厳罰化とそれによって何を失うかを選手たちに啓蒙し続ける義務を負わなければなりません。