『新幹線』対『飛行機』の乗客争奪戦、600キロ圏内では新幹線が圧倒的優位

 開港10年を迎える神戸空港がさらなる苦境に立たされる可能性があると神戸新聞が報じています。

 一般的に羽田路線は “ドル箱” と呼ばれ、航空会社からすれば稼げる航路なのですが、利用客が伸びていないことが現状になっています。

 

 16日で開港10年を迎える神戸空港。開港以来、ライバル新幹線に苦戦を強いられている。兵庫を含む大阪圏ー東京圏のシェアは開港当初、新幹線と航空機は80対20だったが、のぞみの大増発など新幹線の攻勢で次第に後退。

 2011~13年度は85対15に低下し、15年度も劣勢は変わらなさそうだ。JR東海は将来、リニア中央新幹線が品川-大阪で開通すれば「100対0も可能」と描いており、予測通りなら神戸空港は危機的な状況に直面する。

 新幹線と比べて飛行機が苦戦する理由としては、次のような項目に分類することができるでしょう。

 

所要時間

 所要時間そのものは飛行機の方が短くなります。

 神戸空港から羽田空港までは1時間15〜30分ほどで到着します。新幹線を利用すると新大阪駅から東京駅までで2時間30分は要することになりますので、乗車/搭乗時間では飛行機が優位と言えるでしょう。

 ところが、飛行機を利用する場合は搭乗手続きやセキュリティチェックなどが不可欠であり、余分に時間がかかります。荷物の受け取り時間も考慮すれば、所要時間による飛行機のアドバンテージはなくなるでしょう。

 

運賃

 運賃についても最安値は飛行機を利用した場合です。

 飛行機利用時の最安値は約6000円と新幹線の半額程度です。しかし、最安値で利用するには約1ヶ月前までに予約した場合であり、急な変更には対応し切れないというマイナス面も存在します。

 突発的な出張等には対応しているとは言い難く、ビジネス客を逃していると言えるでしょう。

 

利便性

 空港から空港、駅から駅へとだけ移動する人はまずいません。そうなると、空港へのアクセスや駅へのアクセスが評価のポイントになります。

 ただ、空港は騒音の問題から郊外に建設されていることが多く、比較的都市部に位置する駅と比較すると利便性は低いと言わざるを得ません。

 また、チケットの観点からもJRは東京23区内(のJRの駅)であればどの駅で降りても乗車券の値段は同じという点でも新幹線の方が利便性は高いと利用客は感じることでしょう。この点では飛行機は非常に不利です。

 

 要するに、新幹線と飛行機を比較した場合、互いに最高の条件下での比較であれば飛行機が有利です。ですが、一般的な平均値で比較すれば、新幹線に軍配が上がるでしょう。

 飛行機のエコノミー席と新幹線の普通席を比較すれば、新幹線の方が座席にスペースがあり、快適です。窮屈さを我慢できる限度は人それぞれですが、長時間耐えようとする人は少ないと思われます。

 神戸空港が羽田路線で新幹線に勝つためには、1時間ほどの “窮屈さ” を上回る付加価値を提供することができなければジリ貧になるのは当然と言えるのではないでしょうか。