労働組合はジリ貧、労組におんぶに抱っこの野党が浮上する見込みは低い

 自民党に対抗して野党再編が行われそうな政局になりつつありますが、野党の思惑通りには進まないでしょう。なぜなら、選挙活動時に野党を支援している労働組合が衰退の一途を辿っているからです。

 

 この事実は厚生労働省(PDF ファイル)が行った労働組合基礎調査から読み取ることができます。

画像:労働組合の推移

 労働組合員数のピークは平成6年(1994年)の1269万6000人。それが平成27年(2015年)には988万2000人と減少する一方です。

 また、労働組合推定組織率も昭和60年(1985年)の 28.2% から 17.4% と10ポイント以上も数値を下げている状況です。

 労働組合自体がジリ貧状態にある中で、労組の力に依存する野党ができることなど限られているでしょう。では、労組が力を失った理由を考えると次のようなことが考えられます。

 

 まずは雇用形態や働き方の変化です。厚労省の調査に現れる労働組合は正社員を対象とした組織であり、派遣など過去には存在しなかった雇用形態で労働する人が増えたことが “労組離れ” の一端となりました。

 「正社員の待遇改善」を勝ち取ることを念頭に企業と交渉しているのですから、派遣社員やパート・アルバイトなど非正規雇用者がそっぽを向くのは当然です。

 そして、致命的なのは労働組合が待遇改善を勝ち取るという本来の役目を忘れたことです。組合員の待遇を改善するために労組は活動をしていたでしょうか。

 待遇改善に最も直結する賃上げを(労働組合の交渉相手である経団連が支援する)安倍首相が要望していることが現実なのですから、最早労働組合の存在価値は皆無と言えるでしょう。残されたのは「忠実な組織員を選挙に動員できる」という非常に限定されたものです。

 

 すべての労働組合がまとまれば、野党第1党を支援するだけの動員力はまだ持ち合わせているでしょう。しかし、組合員数が多い電力業界は風当たりを強くした現・野党側に肩入れする見込みはあまりありません。

 また、世間一般に負担を強いただけの野党勢力が世論を味方にすることは難しいと思われます。政府与党をバッシングするだけの政党に政権交代させることは大きな代償を支払うことになると多くの有権者が勉強をさせられました。

 偶然起きた過去の栄光に野党がすがり続ける限り、彼らが政権に返り咲くことはないと言えるでしょう。