ディーゼル車はマツダが大きくリードしている実態が浮かび上がる

 フォルクスワーゲンの排ガス不正問題を受けて、国内メーカーを対象とした走行中の排ガス検査を実施した結果が国交省より発表されたことを毎日新聞が報じています。

 いずれのメーカーも不正ソフトの利用はなかったのですが、実際の道路を走行した際には基準値を上回る NOx 排出量を記録したこともあり、行政による規制強化が行われるものと予想されます。

 

 フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題を受け、国が走行中の排ガス検査を初めて実施した。トヨタ自動車、日産自動車、マツダ、三菱自動車のディーゼル車計6車種を2015年12月〜今年2月に調べたところ、トヨタ、日産、三菱自動車の計4車種で、走行検査のNOx排出量が屋内で台上に車体を固定して行う検査での基準を2〜10倍上回った。

 NOxを減らす装置は、外気が低温の状態で作動させるとエンジンを傷める恐れがあるため、装置が自動的に停止する仕組みになっている。国交省は今回の走行検査が冬場に行われたため「低温で装置が停止したためとみられる」と説明している。

 

 「基準値の2〜10倍の NOx 排出量があった」ことだけ一人歩きしている状況ですが、その理由を正しく把握することが肝心です。

 ディーゼルエンジンは低温時にエンジンが痛むことを避ける目的で NOx を削減する装置の動作を止めることが一般的です。特定条件下では削減できないことは以前から明らかでだったのですから、その点についてメーカー側を批判することは間違っていると言えるでしょう。

 今回の測定検査で、「走行中の NOx 排出量も問題視すべき」という結論に達するのであれば、ディーゼル車だけでなく、ガソリン車も含めて走行時の排ガス量にも基準値を設ける必要があります。

 

 検査の対象となったマツダの2車種だけが(燃料の燃焼段階で NOx を減らすという)独自技術により、屋内水準と同等の値を走行時にも記録していたことが特筆すべき点でしょう。

 屋内の基準値と同等の数値を走行時にも求めることが理想ですが、走行状態や気象条件によっても、数値は変わって来るため、現実的ではありません。したがって、屋内での基準値から1.5〜2倍までの水準が現実的な目標になるかと思われます。

 マツダは自社の技術力が第3者(今回は国交省)の調査で認められたのですから、ディーゼル車で採用している経営方針を変える必要はないと言えるでしょう。他のメーカーはディーゼルエンジンの改良に資金を投じるか、電気自動車や水素といったタイプの開発に舵を切るかが迫られることになるでしょう。

 真っ当な技術力で良い製品を世に送り出しているマツダのような企業がバカを見るような規制を設けることだけは止めて欲しいものです。