「経済移民は難民ではない」との態度を鮮明にしたEU

 日経新聞はヨーロッパ連合はトルコが欧州への “経済移民” を受け入れる見返りとして、支援金を60億ユーロに倍増することで合意に達すると報じています。

 ドイツのメルケル首相が「難民受け入れ」を表明してから、自称・難民が多数押し寄せたことで、方針を180度転換したと言うことができるでしょう。

 

 多数の難民や移民の流入に直面する欧州連合(EU)の加盟28カ国とトルコは7日、ブリュッセルで首脳会議を開き、欧州での職探しなどが目的の「経済移民」をトルコが受け入れることで合意した。これと引き換えにEUは資金支援の規模を60億ユーロ(7500億円)と従来から倍増させるほか、EU域内を旅行するトルコ国民のビザ免除を始める時期を前倒しする方針だ。

 

 欧州のメディアは「難民受け入れ」を積極的に呼びかけているのですが、ほとんどの国で反発の声が上がっていることが現実的になりました。

 理由は単純なもので、左派政党やメディアが “政治的な正しさ(ポリティカル・コレクトネス)” を根拠に「難民受け入れ」を訴えるのですが、その結果として自国民の待遇改善が後回しにされているからです。

 リベラル派は(外国籍の)難民支援は呼びかけますが、(自国民の)ホームレスや貧困層の支援を呼びかけません。当然、自分たちの権利を蔑ろにされた自国民の不満が爆発することにつながります。それがデモ活動であったり、自国民の権利保護を訴える右派政党の躍進となるです。

 

 今回、EUがトルコと難民抑制で合意した理由は「自称・難民をヨーロッパに入れたくないから」と言えるでしょう。

 シリア難民を始め、イラク・イランやアフガニスタンからヨーロッパを目指す人々はトルコを経由して欧州に入るルートを使います。つまり、“ハブ空港” 的な位置づけであるトルコで、難民申請資格を持たない人物を食い止めようとする意図がある訳です。

 この手法自体は特に珍しいものではありません。オーストラリアも類似の方法を採用しているからです。

 オーストラリアでは正規の難民申請を経ずに船舶で密入国しようとする外国人はパプアニューギニアやナウルの収容所に送り込まれます。また、難民に対しては期間限定ビザが発給され、恒久的な保護は与えられない方針が採用されているのです。

 要するに、オーストラリアが行っていることを参考にEUも、偽装難民への態度を硬化させたということを意味します。

 

 どれだけ、取り締まりが厳しくなろうともヨーロッパを目指す難民が減少することはないでしょう。なぜなら、左派メディアが「難民を受け入れよう」と呼びかけ続けるからです。

 それにより、世論の実態とはかけ離れたリベラル派の意見を代弁する記事だけが世界中に広まり、記事を目にした人々が “憧れの理想郷” である欧州行きを夢見て、実行に移すのです。また、一度ヨーロッパにやって来た自称・難民たちが祖国に戻ることは望み薄です。

 その理由は、日本にいる “在日” がどういった立場を採っているのかを見えれば明らかと言えるのではないでしょうか。