浮き彫りになったベルギー治安当局の問題点、日本も同様の問題を抱えていないかを確認する必要がある

 ベルギー・ブリュッセルで発生した連続攻撃を受け、以前からベルギー当局が指摘されていた問題点が改めてクローズアップされています。

 ベルギーで起きた事件への対応を反面教師として、問題点を洗い出し、対策を講じて実行に移すことがポイントになると言えるでしょう。ちなみに、次のような点が問題として指摘されています。

 

  1. 複雑な政治構造
    • フランス語圏の南部とオランダ語圏の北部で二分
      ※ 格差による “南北問題” を抱えている
    • 地域・言語で6つの地方行政組織が存在
    • ブリュッセル自体も19の自治体を持つ
  2. スパイ機関の資金不足
    • 諜報機関の職員数は600名(隣国オランダの3分の1)
    • 常時監視するには容疑者1人につき、最大で36名の職員が必要
  3. 原理主義指導者に対する寛容性
    • リベラルやポリティカル・コレクトネスの存在
  4. 武器の闇市場
    • 取り締まりに消極的
    • 捜査の手が伸びないモレンベーク地区の存在

 

 まず、1つ目に指摘されている「複雑な政治構造」ですが、これは縦割り行政の弊害という意味では日本も同様のリスクを抱えていると見ることもできます。

 大きな問題が発生した後であれば、おそらく首相官邸が対応に当たることでしょう。では、問題を事前に防ぐために役所間での連携が必要となった場合に、どこがリーダーシップをとるのかということを決めておく重要性がベルギーの事件での教訓であると思われます。

 

 治安関係の問題であれば、公安や警察が対応することが一般的です。捜査当局に適正な予算が計上されているかが、事件を予防する上では不可欠なこととなります。

 「問題は起きていないのだから、予算削除の対象」となるようでは、防げたはずの被害も防げないという事態に陥ることでしょう。

 また、容疑者や疑わしい組織に対して寛容性を示すことは “百害あって一利なし” です。

 拉致問題に深く関わった朝鮮学校に寄り添うことで、日本国民がどのような理解が得られたでしょうか。「在日の人々は家族を人質に取られているのだから、北朝鮮を批判できない」という擁護の声がありますが、拉致被害者の家族の方々は批判の声をあげています。これでは「都合の悪い事実がさらに露呈することを避けたいだけ」と見られるだけです。

 犯罪者が意図的にマイノリティの中に隠れ混んだ場合、マイノリティを理由に追求することすら許されないのであれば、治安が悪くなるのは当然です。“マイノリティ” が免罪符になることが容認されるようでは社会が分断されるのは時間の問題と言えるでしょう。

 

 それに、テロ事件では武器調達が欠かせません。闇市場が存在すれば、調達の難易度が著しく下がるため、そのようなマーケットができることを事前に防ぐことが捜査当局の大事な役割と言えるでしょう。

 “テロの温床” として指摘され続けているモレンベーク地区はイスラム教徒の移民や、反政府的な立場を採る住民が多く、当局も積極的な捜査を行わないエリアであるとの特徴があります。

 マイノリティであることを理由に捜査が及ばないのであれば、犯罪者が身を隠す絶好の場所になります。そして、捜査が入ることを「マイノリティに対する嫌がらせ」と “お花畑リベラル” が擁護するのであれば、ますます治安が悪化し、手をつけることすら躊躇するようになるでしょう。

 犯罪捜査を人権擁護を理由に拒めるようにすることには大きなリスクが存在することを理解しておく必要があると言えるのではないでしょうか。