“絶対正義” の立場にいた乙武洋匡氏、不倫で最強カードを手放すことに

 今年夏に行われる参院選に出馬するのではと噂されていた乙武洋匡(おとたけひろただ)氏が不倫をしていたことを認めたため、世間の顰蹙を買い、大逆風に見舞われています。

 自業自得とも言える今回のケースですが、乙武氏の周囲には(例え、彼が世間から批判される行為を行ったとしても)問題の行為を指摘するような人物がいなかったことが原因の1つと言えるでしょう。

 

 乙武氏の存在が世間に広く知れ渡ったのは著書である『五体不満足』がベストセラーになってからでしょう。大きなハンデを背負っているにもかかわらず、前を向き、自らの力で道を切り開いていく様が描かれた自伝は世間に大きなインパクトを与えました。

 その後、教員やスポーツジャーナリストなどに活躍の場を移していたようですが、「では、該当分野での乙武氏の主要な業績は何ですか?」と質問されると、答えに窮する人がほとんどだったと思われます。

 教員時代の働きぶりが世間一般に公開されるケースはほとんどなくて当然と言えますが、スポーツジャーナリストであれば、良いコラムや記事は取材当時だけでなく、現代においても参照される実績があるはずだからです。

 

 ただ、乙武氏は身体的ハンデが誰の目にも明らかであり、彼自身が多少の問題行為を起こしたとしても周囲が我慢するような空気が形成されていた可能性が大いに存在します。

 幼稚園や小学校に通う子供たちは “良心の呵責” や “他者への敬意” といった社会概念をすでに持っているとは考えにくく、大人が発言すれば誹謗・中傷に該当する発言をする場合があります。

 誰もが問題発言のターゲットになる可能性があるのですが、乙武氏の場合は誰から見てもハンデを持つポジションにいることが一目瞭然であることから、周囲の子供たちの両親からも配慮される超・過保護で絶対不可侵の立場が与えられた学校生活を送ってきたのではないかと思われます。

 

 では、乙武氏が関係するトラブルはなかったのか。

 おそらく「なかった」と言い切れます。仮にトラブルがあったとしても、乙武氏と争った側が “悪者” とみなされ、泣き寝入りを強いられることが容易に想像できるため、距離を置くことが最大の自衛策となるからです。

 共通の趣味を持っている、会話をすることが楽しいなど、それなりの理由がなければお近づきになろうとはしないでしょう。

 

 つまり、このような環境が続くことは、乙武氏を君主に据えた “乙武王国” が築き上げられることを意味します。

 王は絶対正義であり、絶対不可侵の立場にあるのですから、異を唱える人は自ら “王” である乙武氏から距離を取るか、追放されるかのどちらかです。その結果、乙武氏の周りにはイエスマンばかりが残り、問題発言や行為を指摘するような人物がいなくなってしまうことになるのです。

 「乙武氏は横柄な人物ではないか」と世間が疑問を持ったのは、2013年5月に銀座の雑居ビルにあるレストランに入店拒否されたと自らのツイッターで騒動を起こした件でしょう。

 (予約をしていた)乙武氏が事前に「電動の車椅子で来店したいのですが、大丈夫ですか?」と対応を要請していれば済んだ問題を、「車椅子ではビルにさえ入れない、普段や事務所のスタッフや店のスタッフ、友人たちが手を差し伸べてくれる、自力で行けばスーツが汚れてしまう」と不満をぶちまけました。

 店のスタッフはキッチンとホールの2名のみ。チップを払う文化のない日本では平等に接客される訳ですから、客の1人である乙武氏は特別待遇を得られなくて当然です。むしろ、既婚者であった乙武氏が介護スタッフのいない状況で女性と2人きりで食事に出かけていることの方が不思議な一件でもありました。

 

 そして『週刊新潮』の不倫報道で、乙武氏の輝かしいキャリアは最大の危機を迎えていると言えるでしょう。銀座のレストランで食事をした女性も5人の不倫相手の中にいたのかもしれません。

 乙武氏は自身のホームページ上で「私の不徳の致すところ」という表現で、形式上の謝罪文を掲載しましたが、参院議員への道のりはかなり厳しくなったと思われます。また、乙武氏の妻である仁美夫人が謝罪コメントを出したこともマイナスに働いています。

 「妻である私にも責任の一端があると感じております」とコメントされているようですが、どんな責任があるのでしょう。秘書が起こした問題で管理責任という意味で責任の一端があるとコメントする議員とは明らかに異なります。

 もし「出産と同時に母親になって〜」という釈明が許されるのであれば、女性側の「出産と同時に父親になって〜」という理由も容認しなければならなくなります。それに子供が3人もいる父親の釈明としてはみっともないものであり、そもそも女性の人権を踏みにじっていることに気づかなければならないでしょう。

 家族を平然と裏切るような人物なのですから、有権者を裏切り私腹を肥やす悪徳政治家としての資質はあると言えるでしょう。少なくとも、そのような人物に票を投じたいとは思いません。