王将の第三者委員会報告書から浮かび上がる反社勢力と部落解放同盟の闇

 『餃子の王将』を展開する王将フードサービスが過去に不適切な不動産取引や貸付で170億円が回収不能になっていることが第三者委員会の調査(報告書)で明らかになりました。

 報告書に記載されている「A氏」や彼が経営する「Bグループ」について調査報道することがマスコミに期待されるのですが、報じることは難しいでしょう。なぜなら、メディアが敬遠する理由があるからです。

 

 『餃子の王将』と言いますと、凶弾に倒れた大東隆行氏の印象が強いと思われます。しかし、大東氏は王将の創業者ではないことはあまり知られていないことと言えるでしょう。

 創業者は九州出身の加藤朝雄氏であり、朝雄氏の次男で代表取締役専務を務めた加藤欣吾氏が「A氏」や「Bグループ」から不動産取引などで多額の金額が絡め取られている様子が報告書に記載されています。

 “黒い人脈” と王将フードサービスがいつから付き合いがあったのかを疑問に思う人もいるでしょう。そのことについては『京都の裏社会 山口組と王将社長射殺事件の聖域』(一ノ宮美成+グループ・K21:著)に興味深い記述が存在します。

 

 『王将』のバックは、なんといっても上杉佐一郎さんでしたよ。最盛期の上杉委員長の実力は絶大なもので、(税務申告の書類に)部落解放同盟のハンコがあれば税金フリーパスだったわけです。

 (中略)

 『王将』の餃子の店の全国展開に乗り出す際、数百億円ともいわれる原資をメガバンクから上杉さんが引っ張ってきたそうです。

 

 上杉佐一郎とは、部落解放同盟中央執行委員長を務めた人物で、王将の創業者であった加藤朝雄氏とは同郷であることから深い関係にあったと記されています。

 ここで注目すべきことは「権力は必ず誰かに受け継がれる」ということです。王将フードサービスは2代目社長の望月邦彦氏を経て、加藤朝雄氏の長男である加藤潔氏(3代目社長)へと受け継がれました。

 当時の王将フードサービスは創業者一族である加藤家が株式の過半数を占める同族企業でしたから、権力の世襲は自然な流れだったと言えるでしょう。では、上杉佐一郎氏が持っていた “権力” は誰が受け継いだのでしょうか。

 ここで浮かび上がるのは故・上杉佐一郎氏の異母弟である上杉昌也氏です。報告書を読む限りでは「A氏」は上杉昌也氏と見て間違いないと言えるでしょう。

 

 上杉昌也氏は京都通信機建設工業や福岡センチュリーゴルフクラブなどの経営者として活躍していましたが、前者は2006年末の株主総会で解散を決議し、後者は2011年に福岡地裁に民事再生法の適用を申請しました。

 報告書では出店時のトラブルや店舗火災への対応を「A氏」に依頼したことで、関わりが深くなっていたことが読み取れます。つまり、父親同士の関わりも深かった加藤潔氏が上杉昌也氏との関係を清算することはできず、王将の業績を悪化させてきたと言えるでしょう。

 上杉氏との関係を清算したと見られるのは4代目社長の故・大東隆行氏でした。大東氏は姉の梅子氏が創業者・加藤朝雄氏の妻という間柄でしたが、実直な人柄で創業家ほど上杉家との関係は深くなく、むしろ不適切な関係を清算するために動いていたと見られています。

 その大東氏が凶弾に倒れたのですから、経営の実態を知る王将フードサービスの役員レベルであれば、即座に「A氏」や「Bグループ」の存在が頭によぎったことでしょう。「恨みを買うようなことはなかった」というコメントは現実とは違ったということです。

 

 故・大東氏の対応で問題だったと思われるのは「外部から分からない “ブラックボックス” のような形で反社と疑われる勢力との関係を清算したこと」と言えるでしょう。

 悪事はいずれ明るみに出ることを考えると、裏で処理したことのデメリットが大きすぎます。この点についてはメディアの前で明るみに出し、(その後、トラブルに巻き込まれた場合は)暴力団への捜査を行う理由を求める警察がいつでも動ける状態にしておくべきでした。

 ただ、「A氏」自らが大東氏射殺を依頼したのか、それともパンク状態の「A氏」に対する見せしめという意味でその裏にいる暴力団が実行犯を送り込んだのかは不明ですし、解明することは簡単なことではありません。しかし、彼らには資金源を潰した大東氏に対する恨みがあり、動機は存在します。

 部落解放同盟というメディアが報じないタブーと深い関わりのある人物を報じることは難しいでしょう。大手メディアですら、部落解放同盟の闇を厳しく糾弾することはしないのです。

 

 一般人に “危ない組織” と関わりの深い人と距離をとろうとする動きが出るのは当然です。この動きを「差別だ、ヘイトスピーチだ」と騒ぐ勢力がいることの方がむしろ不自然です。

 むしろ、タブー視されたことで辛くも守られた同和利権を維持しようとしているのではないでしょうか。アファーマティブ・アクション(積極的改善措置)は時代遅れで反感を買うだけであることを理解する必要があると言えるでしょう。