メジャーリーグでは運も実力のうち?

 メジャーリーグも開幕を迎えたのですが、マイナー行き通告を拒否した韓国人選手が少し話題となっています。

 騒動の中心にいるのはボルティモア・オリオールズの外野手である金賢洙(キム・ヒョンス)選手です。彼の成績と李大浩(イ・デホ)選手のオープン戦の成績を比較することにしましょう。

 

イ・デホとキム・ヒョンスの成績比較(2016年オープン戦)
李大浩
LEE, Dae-Ho
金賢洙
KIM, Hyun-Soo
24 試合数 17
53 打数 45
14 安打数 8
1 本塁打数 0
7 打点 2
.264 打率 .178
.724 OPS .402

 

 マイナー契約だった李大浩(イ・デホ)選手はシアトル・マリナーズとメジャー契約を結ぶことに成功しました。ただ、“指名打者兼一塁手” に求められる成績としては物足りないことは事実です。

 しかし、右打ちの指名打者兼一塁手をマリナーズが求めていたこと、イ・デホ選手のライバルと見られていたモンテロ選手が成績が思わしくなかったことがイ・デホ選手がメジャー契約を勝ち取れた理由だと思われます。

 一方、オリオールズとメジャー契約を持っている金賢洙(キム・ヒョンス)外野手のオープン戦での成績はイ・デホ選手を下回っています。さすがに、2割を切る打率と OPS が4割ではチームからのマイナー通告は必然と言えるでしょう。

 

 ですが、キム・ヒョンス選手はメジャー契約を結んだ際に「選手の同意がなければ、マイナーに降格させることはできない」という条項を含めていました。

 選手側は契約条項を盾に開幕メジャーを勝ち取りましたが、チームとしてはキム選手の序列を控え外野手の1番下に置いたことは明確です。主力外野手が負傷すれば、まとまった出場機会を得ることができるでしょうが、“お荷物選手” としてメジャー入りした現状ではチャンスを得ることも難しいと言えるでしょう。

 実力社会と見られているメジャーリーグですが、実際にはメジャー契約で枠を確保されているなど、実績のない選手にとっては非常に厳しい世界となっています。

 例えば、シカゴ・カブスに所属する川崎宗則選手は24試合の出場で49打数18安打。1本塁打、8打点、打率 .367、OPS .997 とイ・デホ選手を上回る成績を残していますが、内野手の枠が埋まっていたことから25人枠に入ることはできませんでした。

 

 マイナー契約からメジャーに昇格するにはメジャーにふさわしい実力だけでなく、メジャー枠が空くという運にも恵まれる必要があると言えるでしょう。