山尾志桜里議員が政調会長に居座り続ける限り、民進党への逆風は止まないだろう

 政治資金収支報告書に地球5周分に相当するガソリン代を記載していた民進党の山尾志桜里政調会長が記者会見を行いました。

 会見では言い訳に終始していたという印象だけが残り、民進党へのボディブローが続くことになるでしょう。対応方法があまりにお粗末でした。

 

 『週刊新潮』が最初に報じたガソリン代は230万円(2012年)。しかし、事務所経費として2012年に約429万円を計上していたことを会見で明らかにしたと毎日新聞が伝えています。

 民進党の山尾志桜里政調会長は6日に記者会見し、自身が代表を務める愛知県の民主党支部で、2012年に約429万円ものガソリン代を事務所経費として支出していたことを明らかにした。当時の公設秘書が不正請求した疑いが強いと説明した。秘書は既に退職し、今後、事実関係の確認などについて弁護士と相談するという。

 

 落選中で収入源を失った状態の政治家が計上するガソリン代としては明らかに不自然です。要職に就いている政治家であれば、秘書やスタッフが複数台の車両で移動する必要があるため、ガソリン代が高くなる傾向にあるのは理解できます。

 しかし、当選1回で落選中の要職経歴もない政治家が与野党の幹部クラスと同じ経費を計上することに違和感を覚える人がいて当然と言えるでしょう。

 当の山尾議員は記者会見で次のように主張しました。

  • ガソリン代の購入額が多かった理由は “ある秘書” が請求した
  • 捨てられていた領収書を悪用したようだ
  • 秘書が使い込んだ可能性があり、刑事事件に該当するため、告訴を検討している
  • 政調会長も議員も辞める気はない

 

 山尾志桜里政調会長の記者会見は有権者から反感を買うだけでしょう。最初に『週刊新潮』が報じてから1週間は経過しましたが、的確な調査を行った印象がありません。

 その最大の理由は証拠や根拠が全く提示されていないことです。

 「秘書がやった」というのは “古い体質” に染まった政治家の典型例です。そういった政治家を口撃してきた山尾議員が「秘書が起こしたことで、自分は無関係」と主張しても、有権者は嫌悪感を抱くだけです。

 秘書の管理責任で大臣職を辞した甘利明議員や、自らの不倫によって議員辞職した宮崎謙介氏のケジメの方が高く評価されることでしょう。

 

 コメンテーターとして千原ジュニア氏は「山尾政調会長は罠にはめられた」という陰謀論をテレビで述べています。残念ですが、そのシナリオはありません。

 なぜなら、政治資金収支報告書はネット上に公開されているものであり、2012年分は2013年からは誰でも確認できるからです。

 では、なぜ山尾議員のスキャンダルがこのタイミングで出たのか。それは山尾議員が有名になったからです。

 無名でブレイクしていない吉本芸人のスクープ記事を狙う週刊誌はありません。M-1 で優勝するなど、世間に名前が知れた時点でゴシップネタ探しがスタートするのです。週刊誌が粗探しをするレベルになったと山尾議員は自信を持って良いでしょう。

 ただ、現在の地位に留まろうとする限り、本人だけでなく、民進党そのものも不誠実な政党と見なされることになります。野合政党なのですから、現在の肩書きを死守するために醜態を晒してくれた方が望ましいことは言うまでもありません。

 民進党が消滅し、自民党と政策論議ができる政党が誕生するまで自民党政権は揺らぐ見込みはなさそうです。