日本国民のために必要なTPP審議を国会でやらない民進党は民主党と何も変わらない

 TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の承認を求める議案を審議する特別委員会が衆議院で始まったのですが、民進党の玉木雄一郎議員が「外交交渉の内容を公開せよ」と声高に主張しています。

画像:TPP対策よりも、交渉過程の公開を迫る民進党議員(NHKより)

 NHK の国会中継があったためのパフォーマンスとも受け取れますが、民進党は国民(=有権者)のための議論は完全に放棄した身勝手な政党と言わざるをえません。

 

 民進党は民主党時代、TPP交渉段階では一切の資料請求を行いませんでした

 交渉中であれば、「交渉内容を明らかにせよ」と主張することに意義はあります。なぜなら、不利な条件で交渉が妥結することを防げる可能性があるからです。ですが、当時の民主党は国会での審議をアレコレ理由をつけて、ボイコットしました。

 そして、TPPの交渉が妥結し、条約の内容が明らかになってから「外交交渉の内容を公開せよ」と主張しているのですから、民進党の主張は論外であると言わざるを得ません。

 

 まず、TPPは民主党政権下の2011年に外交交渉がスタートしたものです。その際、以下の内容に合意しています。

 

  • TPP合意:協定発効後4年間は各国の提案/交渉文書は秘匿とする
  • TPP決裂:最終交渉日から4年間は各国の提案/交渉文書は秘匿とする

 玉木議員も民主党政権の一員としてTPP加入交渉に関わったはずですが、その記憶は忘れてしまったのでしょうか。だとすれば、「政府・与党は不誠実な対応をしている」とのレッテル貼りをしたいだけなのでしょう。

 しかし、優先順位の付け方が明らかに間違っていることに気づいていないことは致命的です。

 

 TPPの協定内容は公表されています。つまり、「協定の内容は国益に沿っているのか」という観点で政府・与党を攻め立てることが正攻法なのです。

 TPPの合意内容や、政府が打ち出したTPP対策に問題があるなら、その点を具体的に指摘すれば良いのです。

 国民はTPPの協定内容による影響を受けます。「TPP対策が有効であるか」が日本国民にとって最もプライオリティが高く、次いで「(問題のある)TPP合意内容」、最後に「その合意に至った交渉過程の内容」となるでしょう。

 民進党の玉木議員はTPP対策を問題視することもなければ、合意内容を厳しく追求すらしていません。それにも関わらず、外交交渉の内容を明らかにせよと主張しているのですから、外交スキルは持ち合わせていないとしか思えません。

 

 外交交渉の内容を勝手に公開するような国は諸外国から信頼されることはないでしょう。“孤立主義” を標榜するなら、玉木議員(民進党)の戦術は非常に効果的ですし、『一国平和主義思想』を持った民進党らしいと言えます。

 まともな議論をする気のない政党は国政には不要です。進歩のない政党に期待する人が増えることの方が不思議と言わなければならないと思われます。