熊本で発生した大地震で川内原発(鹿児島県)の運転を止める必要がない理由

 熊本県で発生した大地震を受け、反原発派が「川内原発の運転を止めろ」と主張しています。

画像:朝日新聞・神田大介氏のツイート

 朝日新聞の神田氏が主張する様なロジックでは「メディアによる誤報、報道・風評被害に関する被災住民の負担(特に心理面)を減らすために、朝日新聞社は停刊せよ」と反論され、ブーメランをくらうだけでしょう。

 自らを “無謬” と信じて疑わない人々は聞く耳を持たないでしょうが、それ以外の方々に対し、熊本県で発生した地震で川内原発の運転を停止する必要がないことを説明します。

 

1:結論

 4月16日17時現在までに発生した地震により、鹿児島県薩摩川内市にある川内原発の運転を止める理由および必要性は存在しません。運転停止となる基準を超える揺れを川内原発では確認していないためです。

 

2:地震により川内原発内で確認された揺れの規模

 14日21時26分に熊本県で発生した地震で、鹿児島県薩摩川内市は震度4を記録しました。原子力発電所の運用時における緊急停止基準は震度ではなく、地震加速度(単位:gal、ガル)で定義されています。

 川内原発に設定されている原子炉自動停止設定値は次のとおりです。

  • 補助建屋最下階:水平160gal・鉛直80gal
  • 補助建屋1階:水平260gal

 なお、16日17時までに発生した主な地震によって川内原発内で観測された地震加速度の数値は下表のとおりと原子力規制委員会が発表しています。

 

表1:川内原発で観測された地震加速度
日時 最下階 1階
14日21時26分頃
(本震:震度7、川内原発:震度2)
3.9 gal 5.1 gal
15日0時3分頃
(余震:震度6強、川内原発:震度2)
4.2 gal 5.4 gal
16日1時26〜46分頃
(薩摩川内市:震度4)
8.6 gal 12.6 gal
16日3時55分頃
(薩摩川内市:震度1)
0.8 gal 検知せず
16日9時48分頃
(薩摩川内市:震度2)
1.4 gal 1.7 gal
16日16時2分頃
(薩摩川内市:震度3)
1.2 gal 2.2 gal

 最も大きな値は16日午前1時30分前後に記録したものです。補助建屋最下階で記録した 8.6 gal であり、これが鉛直方向の地震加速度を示していたとしても、自動停止の設定値(80 gal)の 10% 程度なのです。

 基準値が緩すぎるといいう意見があるかもしれませんが、ですが、震度4(原発内は震度2)で運転を停止させることは非現実的と言わなければなりません。

 

3:川内原発の耐性

 今回の一連の地震において、川内原発内で計器異常やモニタリングポストの値に問題が生じたことはありません。

 また、川内原発の基準地震動は 620 gal と設定されており、施設面での対策が採られていることが確認できたため運転再開が許可されたという経緯があることを忘れてはなりません。

 

 朝日新聞の神田大介氏のように「国のトップだけが原発運転停止の決断ができる」と主張していますが、これは民主党時代に菅直人首相が行ったのと同じで、法律を無視した行為です。法的根拠がないため、中部電力に “要請” を行ったことを忘れてしまったのでしょうか。

 「法を遵守しろ」と安倍政権に向けて叫ぶリベラル派が自分たちにとって都合の良いこと対しては「法律なんか無視しろ」と迫るのですから、ご都合主義にもほどがあります。

 彼らの行為は彼らが忌み嫌い、バッシング対象としている “ヘイトデマ” とやらと同じなのです。そのことを自覚していないのですから、社会に与える悪影響も同じか、それ以上と言わなければならないでしょう。

 現状の反原発運動はマイナスしか社会にもたらしていないことを強く自覚すべきです。