自らのイデオロギーのために “不安” を煽るメディアは百害あって一利なし

 「熊本での大地震は注目度が高く、金になる」と考えるメディアが被災地に殺到し、報道合戦を繰り広げています。

 どのメディアも「被災地に寄り添う姿勢」をアピールしていますが、その実態の多くが自らのイデオロギーを宣伝し、売上を伸ばすために被災者などを利用しているケースがほとんどと言えるでしょう。

 

1:周回遅れの知識で川内原発の不安を煽る日テレ、NEWS ZERO

 まずは日本テレビの『NEWS ZERO』です。19日の放送で村尾信尚氏が「被災地には川内原発が運転することへの不安が募っている。政府は予防的に運転を止めるべきではないか」と自らの口でコメントしています。

 朝日新聞の神田大介氏は同様の主張をした後、ネット上から問題点を指摘され、自らの考えを不十分であったことを認め、意見を訂正しました。

画像:神田大介氏のツイート

 問題点として指摘された内容は「ピーク時供給力 1243万kW から川内原発の発電力 178万kW を引いた分では九州電力管内の需要電力を賄えないリスクが生じていたこと」と、「地震によって送電網が(福岡ー熊本間で)寸断した場合、川内原発が停止していると南九州全体への電力供給が止まること」の2点が主なものでした。

画像:九州地方の配電網図

 また、“川内原発への揺れの規模” という観点からも、川内原発を停止させる理由はありません

 『NEWS ZERO』は「反原発という自らのイデオロギーを世間に浸透させるにはどうするか」ということだけを熱心に考えているのでしょう。無責任な体質だと言わざるを得ません。

 

2:順番待ちの列に割り込むマスコミ、それをデマでフォローしたのもマスコミ関係者

 4月17日朝に関西テレビ(フジテレビ系列)の中継車が熊本県内のガソリンスタンドで順番待ちをしていた車列に割り込んだことがツイッター上に投稿されたことで問題が明るみに出ます。

 すると、あるユーザが「関西テレビはガソリン給油で割り込みはしていない」とフォローする内容を投稿します。

画像:デマによる身内擁護を行うメディア関係者

 『ましまし♪』と名乗るユーザーの発言で事実であれば、ある程度の理解は得られたでしょう。しかし、このユーザーの発言が “らしい” との伝聞調になっていることからも感づかれた方もいるように投稿内容そのものがデマでした。

 

 関西テレビはホームページ上で自社の中継車が割り込んだ上にガソリン給油した事実を認めて謝罪。その後、『ましまし♪』と名乗るユーザーが行った虚偽投稿についても仙台放送(フジテレビ系列)がホームページ上で謝罪を行いました。

 日頃から「真実を報道する」などと主張する報道機関が起こした悪事を白日の下に晒されたことをわざわざ身内がデマを流して隠蔽しようとしたのですから、メディアへの信頼度は地に落ちたも同然でしょう。

 また、該当者に対する処分内容に触れない姿勢も、問題です。「指導を徹底する」というコメントは学校が述べるテンプレートそのものです。

 評判を落とすような振る舞いをする会社や個人に対して、業界全体から厳しい指摘や処分ができなければ、世間から信頼されることはないと自覚する必要があります。

 

3:オスプレイに反発する左翼界隈

 ネット上では「サヨクは謝ったら死ぬ病を患っているのか」と揶揄されているケースを目にする場合があります。

 状況は日々刻々と変化しますし、情報収集不足から来る事実誤認が生じる場合もあるでしょう。完璧な人間など存在しないのですから、ミスは発覚した段階で速やかに訂正・お詫びをすれば済む話です。

 しかし、左翼界隈ではデマを流しておきながら、訂正・撤回をせず、開き直りを見せるという横柄な者たちが多数存在するようです。その典型例はオスプレイが救援活動に利用されたというニュースを受けての反応がその例です。

画像:野間易通氏によるデマツイート

 「アベはオスプレイの使用実績のために、自衛隊ヘリの使用を1日遅らせた」などのデマを広めています。野間易通という人物は “しばき隊” として「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」などと投稿した人物を袋叩きにしておきながら、その一方で自らのイデオロギーに即したデマを広めているのですから、同じ穴の狢と言えるでしょう。

 また、“本と雑誌の知を再発見” と掲げるリテラというサイトでは左翼の主張を代弁する記事を投稿し、それが間違いと指摘されると逆ギレするという醜態をさらしています。

  • オスプレイが行った空輸は必要とされている部分ではない
  • CH-47Jという輸送ヘリを70機所有しているが、待機状態のまま
  • 今回のオスプレイ投入劇は、被災地救済などでなく、安倍政権によるパフォーマンス

 上記のような主張をリテラは4月19日に投稿したのですが、陸上自衛隊は4月16日の時点で CH-47 を4機派遣していることは公式サイトから確認できます。

 つまり、「待機状態である」や「自衛隊ヘリの使用を1日遅らせた」という事実はありません。こういった主張は完全なデマなのです。

 

 記事に対して批判が大きくなると、リテラは「だからなんだというのか」と逆ギレ記事を掲載し、その理由として次の主張を展開します。

 西日本新聞によると、「自衛隊は輸送だけで80機以上、救難や哨戒などの用途を含めると530機のヘリを所有している」が、防衛省の18日17時の発表では、熊本大地震に投入された航空機の数はこの6分の1にも満たない。

 安倍政権が一方で自衛隊機のヘリを出し惜しみし、そのかわりに無理やりオスプレイを投入したのはまぎれもない事実だ。

 リテラによる主張内容が馬鹿げているのは「自衛隊全部隊を熊本の震災救助に費やせ」と述べていることです。

 自衛隊の役割は国防です。熊本に輸送ヘリの大部分を集結させた際に他国から攻撃されたら、どうやって日本を守るのでしょう。胡散臭い NPO 団体が避難所運営を乗っとろうとして騒動を起こしていましたが、それと同じで手薄になった組織に攻撃を加えることは常套手段です。

 また、九州地方以外で別の災害が発生した際に自衛隊の輸送ヘリが熊本近辺に集結していれば、どうやって新たな被災者を救助するのでしょうか。投入可能な輸送ヘリには限度があることを学ばなければなりません。

 

 災害報道は国内での注目度が高いため、災害に乗じて自らの主義・主張をこれを機に宣伝しようという輩が必ず現れます。

 本来、災害報道ではそういった内容を排除し、被災者が必要な情報を最優先に伝え、他の地域向けには被害状況を取りまとめた情報と復旧の見通しや行政の動きを報じる内容で十分なはずです。

 悲劇的なストーリーを探し、同情を誘おうとする “強制感動番組” は求められていません。また、どさくさに紛れたイデオロギー宣伝番組などは以ての外です。「被害者の不満をテレビで語らせ、行政に対応を迫る」という手法は朝日新聞が訴えた “トイレを意図的に詰まらせろ” というやり方を実践しているだけです。

 そのやり方で幸せになるのは不満を伝えたメディアだけと言えるでしょう。なぜなら、当事者の誰かに負担のしわ寄せが行くからです。メディアが自分たちは特別と思い続ける限り、今後もバッシングの嵐が収まることはないと思われます。