「安田純平氏が拘束され、身代金を要求されている」とデマを飛ばした『国境なき記者団』の情報精度に信憑性はあるのか

 4月20日にフランスの NGO 団体『国境なき記者団』が “報道の自由度ランキング2016” を発表しました。

 朝日新聞など一部メディアは「日本国内で報道の自由が損なわれつつある」と問題視していますが、この団体が出したランキングの精度そのものを疑う必要があるでしょう。

 

 まずはランキングを発表した時期です。

 2010年以降に発表されたランキングと発表日を一覧表にすると次のようになります。

表1:報道の自由度ランキングと発表日
年版発表日Rk政府
2010年版 2010年10月20日 11位 鳩山政権
2011-12年版 2012年1月25日 22位 野田政権
2013年版 2013年1月30日 53位 安倍政権
(自民党)
2014年版 2014年2月12日 59位
2015年版 2015年2月13日 61位
2016年版 2016年4月20日 72位

 

 2011-12年版から発表時期が変わり、1月下旬から2月上旬に前年の “報道の自由度ランキング” を発表していました。ところが、2016年版はなぜか4月中旬にまでズレ込んでいるのです。

 2015年に調査した内容を発表することが通常より2ヶ月も遅れた理由は何なのでしょうか。奇しくも、発表の前日(19日)には「表現の自由」に関する国連特別報告者デービッド・ケイ氏が調査結果に対する記者会見を開いています。

 偶然にしては出来過ぎと疑わざるを得ません。

 

 次に、『国境なき記者団』の素性です。

 この団体は2015年12月22日に「フリージャーナリストの安田純平氏がシリアで武装勢力に拘束されており、武装勢力は期限を設け、身代金を要求している。日本政府が行動を起こすことを要求する」と主張した経緯があります。

 Reporters Without Borders (RSF) calls on the Japanese government to do everything possible to obtain the release of Jumpei Yasuda, a Japanese freelance journalist who was kidnapped in Syria in July and who is still being held hostage by an armed group.

 According to the information obtained yesterday by RSF, those holding Yasuda have started a countdown for the payment of a ransom, failing which they are threatening to execute him or sell him to another terrorist group.

 ...

 RSF urges the Japanese government to act quickly.

 しかし、この声明は12月28日に「通常の方法に従って起草されておらず、十分に検証されていなかった」として撤回する声明を発表することになりました。

 ジャーナリズムの基本である “裏取り” を怠るような組織が調査した内容が正しいであるかのチェックを怠っていたとしても不思議ではありません。このような組織の出す情報を鵜呑みにしない必要があると言えるのではないでしょうか。

 

 そして、ランキング調査に協力した人物です。

 「毎年14の団体と130人の特派員、ジャーナリスト、調査員、法律専門家、人権活動家らが、それぞれの国の報道の自由のレベルを評価するため、50の質問に回答する形式で指標が作成される」と主張しています。

 質問内容やポイント算出方式についての説明は存在しますが、肝心の回答者は秘匿されたままです。これは回答者のさじ加減1つでランキングを上下動させることが可能であるという欠陥があることを意味しているのです。

 政府と対立する人物がアンケートに回答すれば、評価を意図的に下げることも可能です。『国境なき記者団』の東京特派員は瀬川牧子氏が任命されており、瀬川氏は上杉隆氏の『NO BORDER』に所属していた経歴を持ち、週刊金曜日でも記事を書いています。

 瀬川牧子氏の団体には日本外国特派員協会の元副会長マイケル・ペン氏も所属しています。瀬川氏は『国境なき記者団』と『日本外国特派員協会』をつなぐ存在であると見ることもできます。

 

 最後に、ランキング上位に入る国についての特徴を記述しておくことにしましょう。

 “日本外国特派員協会” と名乗っていますが、フリーランスのジャーナリストが要職を占めており、大手報道機関の特派員はほとんど顔を出しません。つまり、日本のランキングは「左翼のフリーランスが活動しやすいか」ということを数値化しただけに過ぎません。

 また、『国境なき記者団』が出すランキング上位に入るメリットもありません。ランキング上位は北欧の小国が占めているのですが、これには理由があります。

 メディアやジャーナリストの仕事は「読者が求めている記事を書くこと」です。記事には “重要度” があり、国際情勢に影響を与える力を持った国の政策ほど重要度が高いことは誰の目にも明らかです。

 重要なニュースを報じるのは何もフリーランスだけではありません。大手報道機関も持ち前の資金力を活かして読者に向けて報じるのです。要するに、ニュース価値のある注目度の高い国ほど取材競争が起きる可能性が高く、資金力の乏しい組織やジャーナリストから脱落するのです。

 何の実績もない “新入り” が「(長年取材を行って信頼関係を築き上げてきた報道機関と同じ対応を)取材対象から得られないことはおかしい」と主張しているだけなのです。

 

 「お前は人間じゃない、叩き切ってやる!」を始めとする数々の暴言や、沖縄の在日米軍基地の前で行う違法デモ行為を称賛する報道ができている現状を見ても、「報道に自由がない」と言えるでしょうか。

 むしろ、「世界で1番自由に反政府報道ができる国であること」が実情と言えるでしょう。