“正義” を実現するための方法を見誤ると、賛同は広がらない

 温暖化対策の強化を求める環境NGOがドイツでデモ活動を行い、炭鉱を占拠したことが NHK によって伝えられています。

画像:炭鉱占拠を伝えるNHKニュース

 「温暖化対策の必要性」が正しい主張であったとしても、暴力沙汰や他者の財産権を侵害するような行為をするようでは第三者から支持を得ることないでしょう。目立てば良いという問題ではないのです。

 

 ドイツ東部のウェルツォウでは13日、環境NGOのメンバーおよそ2000人が、週末のため操業を一時停止することになっていた露天掘りの炭鉱に入り込み、占拠しました。

 (中略)

 さらにほかのメンバーたちが別の場所にある石炭火力発電所の敷地に抗議のため入り込もうとしたところ、警察や電力会社の警備員と衝突し、およそ120人が拘束されたということです。

 

 石炭火力発電は地球温暖化の問題に関与していることは事実です。そのため、温暖化を問題視するグループが石炭火力発電を問題視することは当然と言えるでしょう。

 また、露天掘りの炭鉱で多く産出される褐炭(かったん)は経済性は高いものの、大気汚染が問題となっており、放射能より有害性があることが指摘されています。このまま放置しておけるテーマではないだけに、対策が必要であることは多くの人が認識しているものと思われます。

 

 しかし、単純に温暖化対策を打ち出せば済むという問題ではありません。

 いずれの対策が採られたとしても、エネルギーコストが上昇することを意味します。その結果として、製鉄所など大量の電力を消費する工場の経営が立ち行かなくなり、経済に大きな悪影響を及ぼすリスクが存在するのです。

 コスト面で言えば、原子力発電所を運転させることで産業への悪影響を回避することは可能です。また、温室効果ガスの排出量にも大きく寄与することは明らかです。

 そうした利点が存在するにもかかわらず、日本では反原発派の活動に、民主党(現・民進党)や朝日新聞が乗っかったため、マイナス面を強いられる事態となっているのです。

 

 石炭火力に反対する人はいるでしょうが、発電所の運転を妨害する行為を称賛するのは過激派だけでしょう。反原発をどれだけ唱えたとしても、それによるコスト増を強制的に負担させるようでは世間一般に賛同は広がりません。

 “ポリティカル・コレクトネス” 頼りでは、キレイゴトを述べているだけで現実離れしていると指摘され、活動が先鋭化するだけで終わるでしょう。地味で目立たない活動を地道に継続し、信頼を得るための努力を惜しまなければ、大多数を占める中間層に受け入れられることはないと言えるのではないでしょうか。