消費税の増税延期を批判する資格のない身勝手すぎる連中たち

 安倍首相が来年4月に予定されていた消費税の 10% への引き上げを2年間再延期することを表明したことに対し、一部で批判の声が上がっています。

 その急先鋒は朝日新聞などのメディアや野党・民進党なのですが、彼らには消費税引き上げ再延長を批判する資格すらないのです。

 

 朝日新聞は6月1日の社説で次のように主張しています。

 消費税を引き上げて、膨らむ社会保障の財源に充てる。今を生きる世代に痛みはあっても、将来世代へのつけ回しは極力避ける。そんな一体改革の精神を忘れてはいないか。

 

 この主張内容だけを読めば、賛同する人も一定数は存在するでしょう。しかし、忘れてはならないことは朝日新聞を含む新聞業界は軽減税率の適用を受ける立場なのです。

 “将来世代” のことを考えるのであれば、軽減税率の適用を受けず、納税の責務を果たすべきではないでしょうか。

 自分たちは軽減税率の恩恵をフルに享受しながら、「改革の精神を忘れていないか」などと主張するのは明らかに偽善的で身勝手なものです。これでは増税容認派が世間一般で多数派となることはないと思われます。

 

 それでも、朝日新聞社は6月2日の社説で「首相の会見に納得できない、予定通り増税すべき」と主張し、以下のように結んでいるのです。

 不人気な政策の先送りを問うことで自らの公約違反にお墨付きを得ようとする。これは、国民感情を逆手にとった有権者への責任転嫁でもある。

 参院選で問われるべきは、むしろこうした首相の身勝手さではないか。

 厚顔無恥でなければ、朝日新聞社で働くことはできないのでしょう。自らは軽減税率という “甘い汁” を吸いながら、他の納税者へ(納税の義務を)責任転嫁し、安倍首相を身勝手と批判しているのです。

 少なくとも、消費税率引き上げの再延期に対して、朝日新聞など軽減税率の恩恵を受けるメディアが批判する資格はありません。また、メディアと同じく野党(特に民進党)にも批判する資格は存在しません。

 

 民進党は岡田克也代表が国会内の記者会見で「極めて無責任だ」と述べ、安倍首相を批判しましたが、自らのことを棚に上げている姿勢はいかがなものでしょうか。

 「政治家として財政の健全化という重要なテーマを自分の手でやり遂げるとしっかりと約束すべきであって、任期が過ぎてから、次の総理の判断でさらに延期するか上げるかを決めざるを得ないというのは、一国のリーダーとして極めて無責任だ」と述べ、消費税引き上げの責任を放棄した安倍総理の姿勢を強く非難した。

 安倍首相を無責任と批判するのであれば、民進党内部にも無責任な人物が存在します。なぜ、その人物たちは責任を取らないのでしょうか。

 消費税率の引き上げは民主党政権時代に3党合意で決めたことであり、民進党は当事者1番手です。にもかかわらず、民進党は5月25日に「消費税引き上げ延期法案」と衆議院に提出しているのですから、まず自分たちの姿勢を顧みる必要があると言えるでしょう。

 

 消費税率引き上げ分は(増加し続ける)社会保障費に回されることが予定されていました。増税をしないのであれば、社会保障費を削減することが筋ですが、そのことに言及する政治家もメディアも存在しません。

 「財政再建」を本気で考えるのであれば、このテーマを避けて通ることはできないでしょう。

 社会保障費の削減を口にすることのできないメディアは議論に参加する資格を持っていないことと同じです。キレイゴトで誤魔化しきれる水準を超えてしまっている以上、いつから本格的な議論が始まるのかということが注目点です。

 ただ、開始する時期が遅くなるほど、ハードランディングをしなければならない可能性が高くなり、国民に大きな痛みが生じることになることは明らかにしておく必要があると言えるのではないでしょうか。