朝日新聞の世論調査ですら数値の低い「安保法制・憲法」を争点に置く野党の政治センスのなさ

 朝日新聞が6月4日と5日に行った「参議院選挙で投票先を決める際に重視する政策」についての世論調査の結果が発表されています。

 ただ、野党が争点化しようとする項目を有権者が重要視している様子はなく、ピントがずれていると言わなければならない状況となっていることが特徴です。

 

画像:朝日新聞に掲載されたグラフ

 朝日新聞が掲載したこちらのグラフですが、円グラフ表記は不適切と言えるでしょう。なぜなら、重要視する政策を選択肢の中から2つ選ぶという調査形態を採用したからです。

 そのため、棒グラフで以下のように図示することが適切でした。

画像:棒グラフで表示した朝日新聞の調査結果

 円グラフよりも、どの項目の政策が求められているかを直感的に把握できるのではないかと思われます。特に、有権者は社会保障や景気・雇用対策といった経済政策を求めていると分析することができます。

 

 ところが、野党4党は参院選で「安保法廃止」を掲げて戦うという有権者が求める政策とは異なる部分を前面に押し出して戦う気であることを朝日新聞が報じています。

 民進、共産、社民、生活の党と山本太郎となかまたちの野党4党の党首らは7日午前、学生団体のSEALDsメンバーや学者らでつくる団体「市民連合」と国会内で面会し、参院選に向けて安全保障関連法の廃止を掲げるよう要望を受け、合意した。

 

 野党の主張に寄り添う朝日新聞の調査に応じた人でさえ、安保関連法案に関心があるのは2割弱です。この支持層だけでは勝負になりません。

 “社会保障を重要視する” と回答した人の中には「(年配者有利という)過度に偏りすぎた現行の社会保障費用を削減の方向で是正すべき」と考える人も含まれていることでしょう。ここは自民党も手を伸ばしていない有権者層なのですが、その層へのアプローチすらない状況です。

 

 「子育て世代の充実」にせよ、「苦しい生活をしている年配者への年金増」についても予算がなければ話になりません。予算の元手は税収なのですが、多くの税収を得るためには成果を出すことができる経済政策が不可欠なことは明らかです。

 財政再建を訴えるのであれば、多額の支出が行われている社会保障費削減も同時に論じなければなりません。

 その事実を無視し「(年金など社会保障費の)支出は絶対だ」と主張するのであれば、これは “聖域” を作っていることと同じなのです。テレビでは「日本の財政は稼ぐ以上に使っており、赤字が火の車である」とコメントしていますが、なぜ、多額の資金が費やされている部分にメスを入れようとしないのでしょうか。

 与野党問わず、無責任なバラマキを批判しようとしないメディアも財政を悪化させ続けている片棒を担いでいるのです。国会前で行われている “デモ・パフォーマンス” で騙されるほど有権者の多くは馬鹿ではないということをメディアも政治家も自覚すべきではないでしょうか。