仕事用で利用するPCは管理部門に筒抜けになるという認識で使用せよ

 仕事とプライベートは様々な観点から完全に分けておくべきなのですが、理想と現実は異なります。

 ですが、仕事でアダルトサイトを閲覧する業務を行っている人はごくわずかでしょう。もし、アクセスするのであれば、細心の注意が欠かせません。

 読売新聞によりますと、福井県池田町の議会事務局長が勤務中にアダルトサイトを閲覧し、ウイルスに感染。それにより、情報漏洩が発生した可能性があると報じられているのです。

 

 福井県池田町は4日、同町議会事務局の業務用パソコンがウイルス感染し、議員の住所録などが抜き取られた可能性があると発表した。議会事務局長(55)が使用していたパソコンで、勤務中にアダルトサイトを閲覧したのが原因とみられる。

 町によると、事務局長は3日午前にアダルトサイトを閲覧。午後3時頃、パソコン画面に「ウイルス感染している。対応方法を電話で教える」と表示されたため、電話して操作するとパソコンが動かなくなった。

 

 プライベートで利用するパソコンがウイルス感染し、自らの個人情報が漏洩したのであれば、メディアが取り上げることはなかったでしょう。しかし、この件では勤務中であったこと、個人情報が漏洩した疑惑があることでニュースとなりました。

 この議会事務局長と同じ失敗をしないためにも、どういった手口でウイルスに感染したのかを知っておく必要があります。

 

 おそらく、以下のような画面が表示され、パニックになったのだと思われます。

画像:詐欺の可能性が高いサイト

 これは「アクセスしてきたユーザーに所定の電話番号に電話させること」を目的としたページであり、実際にウイルス感染したものを示すものではありません。

 もし、本当にウイルス感染したのであれば、パソコンにインストールしているウイルス対策ソフト(ノートンやウイルスバスターなど)がきちんと動作するからです。特に個人情報保護が求められている現代で仕事用のパソコンがウイルス対策を全く行っていないということはまずないでしょう。

 

 “やましいサイト” にアクセスしたことを誰にも知られたくないと思うのは普通のことですが、罠を用意している悪いヤツもいますので、その罠を回避する術を知っておくことは不可欠です。

 今回のケースでは「てにをは」部分の日本語表記がおかしいため、おかしいと勘づくチャンスはありました。

 「〜その他の問題を経験しに感染していないされていることを〜」

 ソリューションと書かれた部分に上記のような文言があり、日本でビジネスを営んでいる割には文法がおかしくなっていることが読み取れます。しかし、そこまで冷静に判断できる状況下でない人もいるでしょう。

 そういう人は昨今のウイルス対策事情を覚えておくだけでも大きな自衛策となります。最近ではパソコンのOS自体のセキュリティーが飛躍的に向上したため、ユーザーが特定の操作を行わない限り、悪意のあるソフトを侵入させづらくなっているということです。

 サイトを見ただけでウイルスに感染させられるのであれば、わざわざ電話をさせる必要はありません。感染させた上で、金になりそうなパソコンから遠隔で情報を抜き取れば済むのですから、警察に尻尾を掴まれるリスクもないのです。

 

 また、エンジニアが無料で対応することはありません。保守契約が締結されていれば、追加料金が請求されないため実質的に無料のように見えますが、通常顧客からの依頼を無料で請け負う企業はありません。

 なぜなら、技術料やエンジニア拘束料という名目で対価を請求できるからです。それを放棄してまで、見ず知らずの人のためにタダ働きをする民間企業はまずないと考えておくべきです。

 初対面であるにもかかわらず、見ず知らずの人間にやたらと親切にしてくる人がいるのであれば、何か裏があるかもしれないと疑うことを忘れてはならない事案と言えるのではないでしょうか。