大韓航空、緊急脱出時の不手際を認めるも肝心の対策度合いは不透明

 5月27日に東京・羽田空港で離陸態勢に入っていた大韓航空機のエンジンから出火した事故について、緊急脱出時の誘導が不十分だったことを大韓航空が認めたと共同通信が報じています。

画像:羽田空港で事故を起こした大韓航空機(写真:毎日新聞)

 

 羽田空港で5月27日、大韓航空機のエンジンから出火した事故について、同社は11日までの共同通信の取材に、乗客が緊急脱出する際の客室乗務員(CA)の誘導が不十分だったと認めた。脱出に関する情報が乗客に伝わっておらず、同社は社内マニュアルを見直し、CA同士で誘導方法を事前確認するよう求めることなどを検討している。

 けが人は全員、シューターで脱出する際に負傷していたが、シューターに関する事前の注意事項の説明がなかったことも判明。同社は、脱出の際は手荷物を持たないことなどを乗客に徹底するよう新たに求める方針。

 

 記事では脱出用シューターを利用する際、乗客に対する注意事項がなかったことを最も問題視する書き方をしていますが、1番の問題点はそこではありません。

 出火したエンジンのある左翼側のシューターが利用されていることが1番の問題なのです

 なぜなら、左翼側から避難すると、エンジンの爆発などの二次災害が避難中の乗客に降りかかるリスクがあるからです。そのため、今回の事故では右翼側のシューターからのみ乗客を避難させ、風上へと誘導する必要がありました。

 しかし、実際には事故を伝えたニュース映像・記事からも分かるように、適切な誘導方法を提示していなかったことは事実なのですから、この点を改善することは大韓航空にとっての責務と言えるでしょう。

 

 事故が起きた後の対応の問題点を(ある程度は)認めた形となるのですが、そもそもの事故要因を突き止めなければ、同様の事故が起きる懸念を払拭することはできません。

 アシアナ航空が214便がサンフランシスコ国際空港で事故を起こした際にパイロットには問題ないと責任を転嫁するような国の世論に寄り添う必要はありません。きちんと事故調査し、原因に対する対策を大韓航空が講じないのであれば、新たな事故による巻き添えを回避するためにも国土交通省は厳しい罰則を科す責任があります。

 「安物買いの銭失い」という言葉がありますが、問題にきちんと向き合わない航空会社を利用すると、安い航空チケットとの引き換えは自らの命になることを念頭に置いておかなければならなくなることを覚えておいた方が良さそうです。