「宿泊税」がOKなら、民泊宿泊税も創設すべきだ

 東京都に次ぎ、大阪府が創設を目指していた「宿泊税」が総務省からの許可(PDF)が下りたため、来年1月から課税が始まることとなりました。

 ただ、課税対象となるホテル業界から批判の声が出ています。そのため、行政側の目的によって恩恵を受ける全ての業界から公平に課税する必要があると言えるでしょう。

 

 宿泊税の設置理由として、大阪府は「大阪が世界有数の国際都市として発展していくことを目指し、都市の魅力を高めるとともに観光の振興を図る施策に要する費用に充てるため」と説明しています。

 

 なお、課税される税率は以下のものが認可されました。

  • 1人1泊について、宿泊料金が
    • 1万円以上、1万5千円未満: 100円
    • 1万5千円以上、2万円未満: 200円
    • 2万円以上: 300円

 不満が生じる理由は課税対象が “大阪府域内に所在するホテルまたは旅館” に限定されていることでしょう。なぜなら、観光の振興が図られたことによる恩恵を受けるのはホテル業界だけではないからです。

 

 例えば、旅行業界も大きな恩恵を受けることになります。大阪府の有識者会議は宿泊税の利用目的として、「看板の多言語化や観光案内所の運営補助など」を述べていましたが、これはツアーを主催する旅行業界も恩恵を受けていることと同じです。

 それなら、ツアーの料金設定に比例させ、「ツアー実行税」を創設するべきでしょう。そうすることで、観光振興が図られたことで恩恵を受ける旅行業界が主催するツアーなどからも税収を確保できるからです。

 また、宿泊という観点では民泊業者もホテル事業者と同様に課税対象としなければなりません。「都市の魅力を高めること」が宿泊税導入の理由なのですから、質の悪いサービスを提供し、都市の魅力を下げる民泊業者は市場から追放する責務が大阪府には存在します。

 民泊については「1人1泊:5千円未満であれば100円」、「5千円以上、1万円未満であれば200円」、「1万円以上であれば300円」とすべきでしょう。施設面でホテルと比べて(バリアフリーなどで)手抜きができる民泊業者はこの程度の負担は背負うべきです。

 支払いを誤魔化す民泊業者も現れるでしょうが、それに対しては国税が喜んで追徴課税を徴収する動機になるため、大きなマイナスとはならないと思われます。

 

 もし、大阪府が新たに創設する宿泊税で得た財源を赤字になっている『御堂筋イルミネーション』に使うのであれば、「流用」との批判を受けて当然です。高額な電気代が赤字の主な理由であるなら、原発再稼働反対を掲げた大阪維新の会に原因があるのですから、自業自得と言えるでしょう。

 産業に不可欠な電気代を上昇させるようでは、都市そのもの競争力が落ちて当然です。“国際都市” になるために不可欠な体力を地方自治体が自ら先頭に立って削っているのですから、ピントがズレすぎていると言わなければならないのではないでしょうか。