中国漁船の違法操業を野放しにするリスク

 韓国が好漁場で違法操業する中国漁船の掃討作戦を始めたと読売新聞が伝えています。

画像:韓国軍が掃討作戦を実施するエリア(読売新聞より)

 韓国と北朝鮮の国境沿いを流れる漢江(ハンガン)が取り締まりの対象区域なのですが、一筋縄では行かない模様です。

 

 韓国軍と海洋警察は今月、韓国北西部の黄海で違法操業を行う中国漁船の掃討作戦を始めた。

 好漁場を狙った中国漁船が急増し、乱獲による周辺海域への被害が大きく、見過ごせなくなったためだ。掃討作戦は、南北双方の進入が制限される国連管理の中立水域で行われており、北朝鮮が強く反発するという問題も抱えている。

 

 事態をややこしくしているのは朝鮮戦争の停戦合意によってできた国連が管理する中立水域で中国漁船による違法操業が行われているということでしょう。

 “中立水域” と位置付けられた区域に韓国軍が立ち入ることは、北朝鮮軍にも中立水域に入る口実を与えることになります。そのため、両国とも対象水域に入ることを見合わせていた状況で中国が漁夫の利を得ることができる条件が整っている状況でした。

 

 中国漁船団が違法操業していた漢江(ハンガン)河口の位置関係を確認すると、悠長なことを言う余裕はありません。

画像:首都ソウルと漢江(ハンガン)河口の位置関係図

 韓国の首都ソウルから距離にしてわずか30キロにも満たない場所で中国の漁船が堂々と違法操業しているのです。日本で例えると、神奈川県と千葉県の県境にある浦賀水道で中国漁船が違法操業をしていることと同じです。

 これは軍隊が存在しているだけは意味がないことを証明していると言えるでしょう。

 中国漁船は沖縄県漁協が操業する漁場にも進出を狙っています。日中中間線付近で夜間操業する漁船の明かりを見れば、日本も対象となっていることは一目瞭然です。「沖縄のため」と主張する翁長知事は漁業を営む沖縄県民の生活を守るために働いているのでしょうか。

 しかし、実際には中国の海上進出を抑制するための効力を持つアメリカ海兵隊の撤退を主張しているのですから、翁長知事のプライオリティーが疑われることになるでしょう。

 

 違法行為が堂々と行われている状況を放置しておくことは法治国家として問題です。治安体系が機能していないことを示しているのですから、統治力そのものが落ちていると見られることになるでしょう。

 特にルールをきちんと守っている正直者が馬鹿を見ることになるのですから、モラルが崩れる要因にもなります。

 規則に則り、きちんと対応することが当局には求められており、それを実行することが責務なのです。一度でも不正がまかり通れば、それは(不正を行った側にとっての) “正義” になり得るのですから、厳正な対処は不可欠と言えるのではないでしょうか。