メッシは代表引退すべき

 アルゼンチン代表のレオネル・メッシ選手がコパ・アメリカ・センテナリオ後に「代表チームからの引退」と受け取れる発言をしたことがニュースとなっています。

 メッシ選手を取り巻く環境を考えると、このまま代表引退した方が良いのではないでしょうか。

 

 所属するクラブチームであるバルセロナではメッシ選手は数々のタイトルを獲得し、選手としてもクラブとしても栄冠を極めました。しかし、アルゼンチン代表では上手く歯車が噛み合っていない状態で、批判の対象となっています。

 理由として、以下のことが考えられます。

 

  • レオ・メッシは選手として世界最高である
  • 同年代の選手も北京五輪(2008年)で金メダルを獲得するなど、“黄金世代” に該当する
  • アルゼンチン代表は『W杯優勝候補』に名を連ねる強豪である

 世界最高と称される選手がW杯優勝候補の一角と見られている国の代表チームでプレーするも、メジャータイトルを獲得することができなかった。このことが批判を呼び起こす根底にあると言えるでしょう。

 例えば、選手としてメッシ選手と “世界最高” の座を争うクリスティアーノ・ロナウド選手ですが、ポルトガル代表が『W杯優勝候補』とは見られていないため、「タイトルが獲得できていない」という理由で批判されることはありません。

 この違いが選手にとって大きなストレスになっていると言えるのではないでしょうか。

 

 メッシ選手が代表引退と受け取れる言葉を口にしたことで、周囲からは翻意を促すコメントが出ています。アルゼンチンの大統領も加わったことで政治的な動きが活発化することも想定できます。

 また、メッシ選手とスパイクのスポンサー契約を結んでいるアディダス社はアルゼンチン代表のユニフォームスポンサーも務めており、代表引退に難色を示すのではないかと一部では報道されています。スポンサーが選手の判断に影響を与えようとすることは、「選手はスポンサーの奴隷」という印象を与えるため、あまり望ましくないものと言えるでしょう。

 バルセロナでメッシ選手と同僚だったブラジル代表のダニエウ・アウベス選手は「スポンサーのために売春させられるよりも、自由でいたい。サッカー界は日々腐っていっているんだ。選手はまるで売春婦だよ」と語り、物議を醸しました。

 ダニエウ・アウベス選手が述べた不満と同じことがメッシ選手にも起きていたとしても不思議ではないのです。

 

 日本のオリンピック選手団を取り巻く報道関係もメッシ選手のケースと類似しています。

 選手は個々の実力を度外視され、金メダルを獲得することがメディアから命じられます。そして、金メダルが獲得することができなければ、“戦犯” として吊し上げを受け、批判の矛先を向けられるのです。

 このようなことを自らは安全な場所に身を置き、平然と行うメディアやファンに嫌気がさすことは当然でしょう。むしろ、今まで過剰なバッシングによく耐え続けたと思われます。

 28歳と若く、2018年のロシアW杯が1つの区切りと予想されていただけに、メッシ選手の代表引退発言は驚きでした。しかし、メッシ選手自身が「代表で十分プレーし、現時点で思い残すことは何もない」と感じているのであれば、代表チームから離れる時が訪れたのだと見なすべきです。

 

 選手本人の思い入れが薄れているのであれば、無理に翻意を求めたところで幸せになるのはスポンサーやメディアなどのごく一部に限定されます。だったら、ひとまず代表を引退し、バルセロナに専念した方が良いことでしょう。

 「代表復帰」という選択肢もあるのですから、メッシ選手がその決断をいつ下しても問題がないように準備をしておくことが現状でのベストと言えるのではないでしょうか。