「軍事費(防衛費)は人を殺すための予算」と発言した藤野保史・日本共産党政策委員長が辞任

 NHKの番組で「防衛費は人を殺すための予算」と本音を発言した日本共産党の藤野保史政策委員長が党の役職を辞任したとNHKなど各メディアが報じています。

画像:お詫びする日本共産党の藤野保史政策委員長

 これは事実上の更迭であり、党として自衛隊の存在を認知することになったと言えるでしょう。

 

 今月26日に放送されたNHKの参議院選挙特集で、共産党の藤野政策委員長は、今年度の防衛費について、「軍事費は戦後初めて5兆円を超えたが、人を殺すための予算ではなく、人を支えて育てる予算を優先していくべきだ」と発言し、その後、発言を取り消しましたが、自民党などから「不適切な発言だ」として批判が出されていました。

 

 藤野政策委員長の発言は “共産党の価値観” をそのまま述べたものであり、党から批判される筋合いはありません。

 番組で発言があった際に、自民党の議員などからは批判の声が出ましたが、野党共闘のパートナーである民進党・山尾議員から発言を問題視する見解などが一切出されなかったからです。

 そもそも、日本共産党は自衛隊の存在すら認めず、憲法違反だと主張してきました。今回、藤野政策委員長が役職を解かれたのは党が掲げてきた方針と明らかに矛盾することなのです。

 

 日本共産党綱領には以下のように明記されています。

 党は、自衛隊の増強と核武装、海外派兵など軍国主義の復活・強化に反対し、自衛隊の解散を要求する。

 6月19日に行われた参議院選挙に向けたネット視聴者向けの党首討論でも志位和夫委員長自らが「自衛隊は憲法違反」と明言しているのです。また、「自衛隊には、急迫不正の主権侵害や大規模災害が起きた時には働いていただく」との発言もしました。

 これは明らかに “ご都合主義” と言われるものであり、欺瞞に満ち溢れた思想と言えるでしょう。

 

 自衛隊の存在を認めず、「人殺し集団」と批判してきた経緯を持つ共産党はなぜ藤野政策委員長の発言だけを不適切と判断したのでしょうか。少なくとも、そのように判断を下した理由を説明する必要があります。

 防衛費の増強すら認めないのであれば、共産党はどのように国を守るというのでしょう。

 「中国空軍が東シナ海の上空で航空自衛隊機に攻撃の意図を見せた」との情報が実際に出ています。自衛隊を解散させれば、中国軍のこのような行為もなくなると主張するのであれば、堂々と発言すべきことなのです。

 普段は「人殺し集団」などとバッシングしておきながら、トラブルが生じた時は問題の対応・解決に当たらせる。これほど無責任で欺瞞に満ちた主張はないと言えるでしょう。

 

 責任を負わない立場にあるからこそ可能となる “お花畑な見解” そのものです。反自民党の票を集めるには政策上の不一致や欺瞞が存在していたとしても、有権者は気にすることもないと馬鹿にされている可能性もあります。

 民進党と共産党が主導する野党共闘は互いの主張が明らかに食い違っているのです。それを隠そうとした状態で票を投じることへのメリットはありません。

 有権者を愚弄する政策を掲げるような政党や陣営に対しては与野党を問わず、NOを示さなければなりません。それが有権者の責務であり、民主主義を維持するために求められていることと言えるのではないでしょうか。