オーストリア大統領選、不正選挙で決選投票のやり直しが正式決定

 “極右” の大統領が誕生することを防ごうと姑息な報道工作が行われていたオーストリア大統領選ですが、憲法裁判所は敗れた自由党の申し立てを認め、選挙のやり直しを命じたとBBCが報じています。

 

 オーストリア大統領選はファン・デル・ベレン(Van der Bellen)候補がホーファー(Hofer)候補を3万863票差で破り、当選を果たしました。

 

 選挙当日の得票はホーファー候補が勝っていたのですが、郵送分でファン・デル・ベレン候補が逆転し、最終的に勝利したのですが、この郵送分に不正があったため選挙は無効であるとホーファー候補を支援する自由党が憲法裁判所に訴えたことが発端です。

  • 117地区中、94地区で郵送投票用紙が不正に処理された
  • 規則で定められた日よりも前に郵送投票分が開票・集計されたケースがある
  • 外国人や16歳未満など選挙権のない人物が投票した疑いがある
  • 投票が二重にカウントされた疑いがある

 選挙を管理する担当者は「自由党からの申し立てがあったようなことはなかった」と主張していましたが、憲法裁判所は自由党からの訴えを認める判決を下しました。

 

 問題視されたのは、「正しい手順で集計されていなかった」という疑いを否定する根拠がなかったことでしょう。集計方法がデタラメであれば、選挙を行う意味がなくなってしまうからです。

 また、有権者でもない人物が票を投じていたのであれば、オーストリア人による自治そのものが根底から揺らぐことになってしまいます。

 ただ、メディア的には今回の決定は歓迎できないと思われます。なぜなら、僅差で “極右大統領候補” を敗退させていたのですが、やり直し選挙で逆転される可能性が復活してしまったからです。

 国営放送がデマを流してまで、左派に肩入れをしていました。その上、不正が疑われる選挙を経て、辛くも左派系候補が勝利したというネガティブな印象が持たれた中で「やり直し選挙」が行われるのです。逆風が吹き荒れた状況から戦い始めることを余儀なくされることを意味しています。

 

 レッテル貼りするなど手段を問わずに戦ってきた左派に正攻法で決選投票に勝つ要素があるのかが勝敗の行方を決めることになるでしょう。

 「極右はダメだ」の一点張りで誤魔化しきれるレベルではありません。有権者を馬鹿にした姿勢はすぐに看破され、逆に反発を招くリスクがあることを自覚する必要がエスタブリッシュ層にはあるのではないでしょうか。