フランス・ニースでテロ、ソフトターゲット対策が不可欠に

 フランス南部にある観光地ニースで、フランス革命記念日に行われていた花火の見物客を狙ったテロ事件が発生し、多数の死傷者が出ているとNHKが報じています。

 ソフトターゲットが狙われた形であり、対策を講じることが不可欠です。少なくとも、後手に回った現状を改善することが不可欠と言えるでしょう。

 

 フランス南部のニースで14日夜、フランス革命を記念する祝日の花火を見物するため集まっていた人たちの中にトラックが突っ込み、これまでに84人が死亡しました。フランス政府はテロ事件とみて、背後関係など捜査に全力をあげる方針を示しました。

 

 動機の解明が待たれますが、「群衆の中にトラックで突っ込み、銃を乱射した」と報じられています。殺傷力の高い銃がテロ行為に利用されることで被害が拡大しており、この部分の対策は不可欠でしょう。

 しかし、フランスだけが銃規制を強化したところで問題への有効な対策とはなりません。

 なぜなら、EUは “移動の自由” が認められており、それに乗じて、銃などの武器も自由に移動することが可能だからです。特に軍需産業を持ち、ヨーロッパや世界中に武器輸出を行っている国々が存在しますので、アメリカ以上に規制は困難が伴うと思われます。

 

 ソフトターゲットを狙うテロ事件を事前に把握することはほぼ不可能でしょう。多くの場合は “通り魔事件” のように、兆候を掴むことが難しいからです。

 過激な思想に傾倒している場合は把握しやすいと言えるでしょうが、(犯行を起こす前に)身柄を拘束することは非常にハードルが高くなります。確固たる証拠がない限り、逮捕することは不可能ですし、マークされていることに気づかれると先手を打たれることになってしまいます。

 したがって、テロを起こす可能性の高い要注意人物をマークするために必要な予算を計上することが不可欠です。また、ソフトターゲットを狙いにくくする街や施設を作る必要があります。

 大勢が集まるエリア周辺に近づける車両は許可を得た車両に限定したり、事件が発生した際は一帯を閉鎖できるなど被害の規模を小さくするために有効となる対策を講じるべきだと思われます。

 

 今年は7月24日(日)にツール・ド・フランスがパリ・シャンゼリゼ通りにゴールします。大勢の観客が詰めかけることが予想されるため、ニースと同様の事件が発生した場合に備えておく必要はあります。

 自転車ロードレースの祭典なのですから、走路が用意されており、レース前にキャラバン隊が走行しているため、不審車両が乱入しやすい環境と言えるでしょう。模倣犯による事件の再発を防ぐためにも、事前の想定・準備を進める責務が当局にはあるのではないでしょうか。