熊本での地震直後にデマツイートをした人物を逮捕できるなら、東日本大震災のケースも同様にすべきだ

 熊本県・大分県で大きな被害が発生した直後に「地震で動物園からライオンが逃げた」と嘘の内容をネット上に投稿した男が偽計業務妨害の疑いで逮捕されたとNHKが報じています。

画像:NHKが報じた問題のツイート

 

 逮捕されたのは、神奈川県に住む会社員、佐藤一輝容疑者(20)です。

 警察の調べによりますと、佐藤容疑者はことし4月14日の熊本地震の発生直後に、「地震のせいで、うちの近くの動物園からライオンが放たれた」などと、うその内容をツイッターに投稿し、熊本市動植物園の業務を妨害したとして偽計業務妨害の疑いが持たれています。

 

 ネット上では既存メディアが報じていないニュースやウワサが飛び交っている場合があります。ウソやデマの類も存在するのですが、それらによる “悪ふざけ” や “売名行為” が許される訳ではありません。

 逮捕された男は容疑を認めているということですが、おそらく逮捕されることはないだろうと考えていたのでしょう。警察が行ってきた従来の対応を見ると、ある意味で見せしめ的な要素が強いと思われます。

 

 ただ、今回の逮捕が “見せしめ” であったとしても、犯人を擁護する立場を公言する人は少ないでしょう。パニックを起こし、他人が慌てふためく様子を高見の見物を行うような行為に対して嫌悪感を抱く人が多いと考えられるからです。

 当然、東日本大震災で福島県に対するデマを発信していたメディアやジャーナリストも今回逮捕された容疑者と同じように法の裁きを受けるべきです。

 熊本のライオンデマ男による影響は確かに存在しましたが、福島に向けられたデマの数々は明らかにケタ違いです。これを放置しておく理由はどこにもありません。ワイドショーなどで犯人叩きが行われることが予想されますが、より批判されるべき対象は福島への不安を煽り続けていた番組や報道を作っていたメディアなのです。

 自らが報道した内容に対する責任を取らず、振る舞いを棚に上げ、他人の行為を上から目線で批判している姿勢が信頼を損なっている原因であることに気づかなければなりません。

 

 『自由』は『責任』を負うことで得られるものです。「報道の自由」を主張するのであれば、「報道の責任」も同時に負わなければなりません。

 自分たちは自由に報道を行うが、それによって生じた内容については一切責任を負わないという立場は無責任であり、自分勝手なものです。何食わぬ顔でそのような姿勢を続けているメディアや自称・ジャーナリストに対しては厳しい批判をぶつけるべきでしょう。

 少なくとも、プロメテウスの罠という連載シリーズを掲載した朝日新聞には「東京・町田で起きた鼻血と福島第一原発での事故に因果関係があった」という証拠を提示していただきたいものです。