シリア難民はドイツで無条件に難民認定できるという危険な思い込み

 ドイツ南部バイエルン州のアンスバッハで難民申請が退けられたシリア人が爆発事件を引き起こしたとNHKが報じています。シリアからの難民はドイツで無条件に難民認定されるというイメージがありますが、それは一方的な解釈です。

 

 過去記事で触れた経緯がありますが、2015年に発表されたドイツ連邦移民・難民庁が下した裁定を表にすると、以下のとおりとなります。

表1:ドイツ連邦移民・難民庁による裁定結果(2015年)
国名申請数裁定数庇護数
シリア 162,510 105,620 102,586
(96.0%)
アルバニア 54,762 35,721 76
(0.2%)
コソボ 37,095 29,801 132
(0.4%)
アフガニスタン 31,902 5,966 2,890
(47.6%)
イラク 31,379 16,796 15,037
(88.6%)
セルビア 26,945 22,341 26
(0.1%)
合計値 476,649 282,726 142,944
(49.8%)

 

 シリアは国別で見ると、庇護率が 96.0% と非常に認定される割合が高い印象があります。しかし、この数値にはトリックがあることを忘れてはなりません。

 なぜなら、『庇護された難民』という定義は「難民認定を受けた+庇護措置を受けた+本国送還を禁止する措置を受けた」という複数項目の合計値なのです。また、ドイツには難民認定が2種類存在しているという法体系が運用されているのです。

 

 2014年と2015年に行われたシリアからの難民に対する裁定の内訳は次のとおりでした。

表2:シリアからの難民申請に対する裁定の内訳
項目2014年2015年
初回初回2回目以降
裁定数 26,703 101,937 3,683
難民認定
(基本法16条)
1,489
(5.6%)
1,141
(1.1%)
26
(0.7%)
難民仮認定
(難民法)
20,507
(76.8%)
96,515
(94.7%)
3,455
(93.8%)
補完的庇護 3,246
(12.2%)
57
(0.1%)
4
(0.1%)
本国送還の禁止 106
(0.4%)
140
(0.1%)
81
(2.2%)
申請却下 19
(0.1%)
6
(0.0%)
1
(0.0%)
条件付き申請却下 16
(0.0%)
0
(0.0%)
その他措置 2,825
(10.6%)
4,062
(4.0%)
78
(2.1%)

 バイエルン州のアンスバッハで事件を起こしたシリア人の男は「2年前にドイツへの難民申請を行ったものの、去年、申請を退けられ、その後は人道上の理由から保護施設に滞在していた」と報じられています。

 2014年は難民と認定された割合が 80% だったものが、2015年には 95% と大きく数値が上がっていることが気になる点です。

 同じ条件を持つ人物でも、「2014年に申請すると “補完的庇護” と裁定され、2015年だと “難民仮認定” とされること」も十分に考えられます。もし、そうだとすると、2014年に申請した者たちは不公平な裁定による不満を溜め込んだことになります。

 裁定基準が内部で変更されている可能性も考えられるのですから、その点についても調査する必要があると言えるでしょう。

 

 難民申請で支援の手を差し伸べることは素晴らしい姿勢です。しかし、難民申請者が元の居住国で行ったいた生活を完全再現する責務は受け入れ国には存在しないということを明確化しておく必要があります。

 文化・価値観が異なる人々に過剰配慮する必要が存在しないためです。受け入れ国側の整った社会インフラ環境の上に、難民申請者たちによるタダ乗りを認めることは新たな火種となる可能性があります。

 難民が発生した原因を特定せず、対策も講じることができていないのであれば、難民の受け入れ国で遅かれ早かれ難民が発生する原因となったトラブルが生じることになるでしょう。現に日本国内でも、トルコ総選挙の際に『クルド系トルコ人』と『エルドアン大統領支持派のトルコ人』との間で騒ぎが発生したことがあります。

 

 難民認定は「社会的な安全と引き換えに、称賛されること」であることを認識しなければなりません。

 “難民歓迎” を訴える人たちは自分たちが社会的に安全な地位・身分を持っているから主張できるのです。彼ら・彼女らは自らの安全が脅かされる事態が発生するのは想像すらしていないことでしょう。

 もし、自らの身が脅かされるような事態に巻き込まれようものなら、立場を180度転換し、政府に対して難民認定規制を強化せよと声高に叫ぶはずです。

 安易に自称・難民を呼び込んだドイツの姿勢を反面教師とし、日本は日本の文化・伝統に理解を示す難民の条件に合致する人たちだけを認定する姿勢を貫くことが中長期的にベストな対応策になると言えるのではないでしょうか。