スマホの高額な販売形式の是正に公取委が乗り出すことは歓迎すべきこと

 日経新聞によりますと、公正取引委員会が高額な価格となっているスマートフォン販売の是正に乗り出す方針を固めたとのことです。

画像:通信料金体系の不透明さが指摘されたイメージ図

 携帯大手が市場を寡占し、“濡れ手で粟” の状態なのですから、端末代と通話・通信代が分割された料金形態が提示されることは消費者にとって歓迎すべきことと言えるでしょう。

 

 公正取引委員会は高額なスマートフォン(スマホ)販売の是正に乗り出す。独占禁止法に違反する商慣行を近く公表する指針で示す。通信大手が分割払いの支払総額を指定すれば、販売店の自由な価格設定を阻むため違反と扱う。メーカーが新型の普及を優先し、通信各社に旧式のスマホを国内で再販売しないよう求める契約も認めない。端末の価格競争や格安事業者の新規参入に結びつけ、消費者の選択肢を増やす。

 

 テレビでCMを日常的に放送している通信大手は「端末代金を月々の分割払いで支払うことを前提とし、その代わりに通信料金の値引きを行う」というビジネスモデルを採用しています。

 しかし、この手法は市場参入を妨害するやり方であり、問題視されています。

 端末を新規購入するかどうかによって通信料金が上下するのです。ベースとなる通信料金があらかじめ高めに設定されていることは消費者にとって歓迎できるものでありませんし、“実質無料で最新端末が手に入り、なおかつ、月々の通信代も安い” というビジネスモデルは異様と言えるでしょう。

 

 通常より安い価格帯での料金設定が可能であるには、そもそもの価格設定が割高であるか、誰かが高い価格水準を余儀なくされていることを意味しています。

 市場への参入障壁が低いのであれば、公取委が動く意味は少ないでしょう。なぜなら、市場のニーズをうまく掴み取った企業が大きなシェアを占めることになるからです。

 ですが、携帯通信市場は明らかな寡占市場であり、参入障壁も高い状況です。そのため、端末は端末の価格競争を、通信料金は通信料金の価格競争が行われる市場環境が形成されなければなりません。

 公取委がスマホ販売の是正に乗り出したことは評価すべきことであり、歓迎すべきことでしょう。

 

 通信会社であるなら、“通信の質” で勝負して欲しいものですし、それに見合った料金体系であれば、利用者からの不満も生じないと思われます。

 過剰に守られた市場環境下で大手企業だけが利益を溜め込むことは適切な競争状態にあるとは言えません。自由競争の末に掴み取った市場シェアと高い参入障壁に守られていることには大きな違いがあることを認識する必要があるでしょう。