同性愛を暴露され自殺した一橋法科大学院生の遺族による訴訟は八つ当たりだ

 同性愛だと暴露され、自殺した一橋法科大学院生の遺族が同級生と一橋大を相手に損害賠償を求める訴訟を起こしたと弁護士ドットコムが伝えています。

 大手メディアが報じたニュースだけを見ると、自殺した学生が同性愛であることを暴露した学生が悪者に仕立て上げらえていますが、明らかにスケープゴートにされていると言えるでしょう。訴訟は明らかに八つ当たりです。

 

 一橋大学構内で2015年8月に起きた男子学生の転落死事故をめぐり、両親が同級生と一橋大を相手に、計300万円の損害賠償を求めて、裁判を起こしている。男子学生は同性愛者で、被告の同級生男性から周囲にアウティング(暴露)され、心身の不調に悩まされていたという。

 

 BuzzFeed に掲載された記事を見ますと、もう少し詳しく事件が発生する経緯が書かれています。

  • 自殺した学生Aは同性愛者(ゲイ)だった
  • 学生Aは同級生である学生Bに対し、自分がゲイであることと学生Bに恋愛感情を抱いていることを告白
  • 学生Bの告白に対する返事はNO
  • 2ヶ月後、学生Bは隠し通すのは無理と学生AがゲイであることをLINEのグループチャットに投稿
  • 学生Aはパニック障害を起こし、自殺する

 ポイントは “ストレート” である学生Bが学生Aから「自分はゲイで、あなたのことが好きだ」と告白されたことに対する反応に問題があったかどうかということになるでしょう。

 

 この学生は周囲の友人に同性愛者であることカミングアウトしていない人物から、「同性愛者であり、あなたに恋愛感情を抱いている」と告白されたのです。同性愛者から好きだと告白されると、YESと返事し、秘密裏に恋愛関係とならなければならないのでしょうか。

 告白では同性愛間であろうと男女間であろうと次のようなリスクが生じます。

  • 「〇〇から告白された。ありえない」とネタにされる
    → 名誉が傷つく、社会的な立場を失う恐れ
  • ストーカー被害に遭う恐れがある
    心身が危険にさらされる恐れ

 ゲイ(同性愛者)というマイノリティーが自殺したという事件であるから、メディアは被害者擁護の方針で報じているのでしょう。

 

 ですが、告白された側の学生に非があったとは思えません。学生Aからゲイであることを一方的に告白され、(生理的に恋愛対象でないから)恋愛感情もきっぱり否定したのです。

 ストレートである学生Bにも自らが持つ価値観や尊厳があります。それらが守られることは当然のことでしょう。学生Aにとって理想のシナリオである「学生AとBが2人以外の学生には秘密の恋愛関係になる」を受け入れる責務は学生Bには存在しません。

 学生Aが学生Bのストーカーに化けるリスクも現実にあったのです。周囲からは「仲の良い2人」にしか見えないわけですし、距離を保ちたくても難しい状況に置かれていたと言えるでしょう。

 強引に関係を迫られるリスクに直面していた(告白された側の)学生Bはどう対処すべきだったのでしょうか。

 

 自らの身を守るためには自らの周囲にアウティング(暴露)するしか有効の手段はない状態だったと思われます。

 秘密を守り続ける限り、学生Bは明らかに孤立無援の状況だったのです。生理的に受け入れない相手から恋愛感情を告白され、1人で対処をするには限界があります。

 マイノリティーを感情・尊厳を優先すべきと主張することはあまりに放漫です。同性愛者であれば相手に守秘義務を科すことができる権限でもあるのでしょうか。

 遺族による訴訟は八つ当たりに近いものがあります。裁判では原告敗訴となるべきでしょう。原告が一部でも勝訴する判決が確定すれば、恋愛関係がらみの訴訟が連発すること誘発する要因となるからです。公然と憎悪の対象にされた学生が不憫でなりません。