自身のカテゴリーに『政治家』を加えたジャーナリストを番組ホストに起用するのは不可能だ

 東京都知事選に立候補し、4位で終わった上杉隆氏が東京MXテレビから番組降板通知が届いたことに不満を述べていると日刊スポーツが報じています。

 上杉氏の主張がどういったものであれ、『政治家』というカテゴリーを自らのプロフィールに加えた人物を地上波放送の番組ホストで起用することは不可能であり、上杉氏は自らの都合が良いように解釈しているだけに過ぎません。

 

 その番組ですが、『週間リテラシー』という生放送番組です。上杉氏が番組MC(司会・ホスト)務めるだけでなく、彼が代表取締役を務める "NO BORDER" も番組制作協力に関わっている状況です。

 例えば、番組内容がバラエティーなど、政治と無関係であるなら上杉氏の降板は問題視されることでしょう。

 しかし、『週間リテラシー』が扱うメインテーマは “政治” を中心とした情報番組という位置付けです。上杉氏はジャーナリストという肩書きで活動していましたが、先日の東京都知事選に立候補したことで、政治家というカテゴリーが加わりました

 これが上杉氏が降板する最大の要因になったと言えるでしょう。

 

 東京MXテレビは地上波の放送局なのですから、放送法を遵守しなければなりません。放送法4条には「政治的に公平であること」という規則が存在します。

 政治がメインとなった情報番組の司会者に “政治家” の一面を有する人物を起用して、「政治的に公平である」とテレビ局が担保することができるでしょうか。

 どのテレビ局を見ても、政治家が番組MCを務める番組は存在しません。それはMCが自らの主義・主張にあった番組となるよう誘導している可能性を排除するための措置であり、放送法で守られることとの引き換えなのです。

 そのため、MCや司会を務める人物は中立的な立場と言えるテレビ局のアナウンサーなどが務め、政治家はゲストという形で番組に招き、中立性を保証しているのです。

 

 テレビやラジオが放送法の規定を受ける立場にあるのですが、特に影響度の強いテレビの地上波放送はクレームが入りやすく、テレビ局側の自主規制が強い傾向にあると言えるでしょう。

 もし、上杉氏を都知事選後も番組MCとして東京MXテレビが起用し続けようとすれば、「政治家の一面を持つ上杉氏がMCを務める番組が政治的に公平であると言えるのか」という批判が出ることは明らかです。偏りがあると判断されれば、放送免許が剥奪されるのですから、降板通知を送ることは当然と言えるでしょう。

 誰でも都合の良い解釈をする傾向にありますが、上杉氏のケースについてはムシが良すぎると言わざるを得ないものであると思われます。