バイデン米副大統領、日本国憲法を書いたのはアメリカだと発言

 「憲法を護れ」と主張する護憲派にとって、目を背けたくなるような事態が発生しました。

 アメリカのバイデン副大統領が民主党クリントン候補の集会に参加し、その中で「私達(=アメリカ)が日本国憲法を書いた」と発言していたことをNHKが伝えています。

 

 「トランプ氏は、核戦争がささいなことであるかのように、ほかの国々に核兵器の開発を促している。核保有国にはなれないという日本の憲法は、われわれが書いたものだということを理解していないのか」と発言しました。

 

 護憲派(の一部)にとって、このニュースはショックでしょう。なぜなら、「自分たちが発案した」と信じ、主張してきたものはアメリカが文案を作っていたと主張されたからです。

 現在の日本国憲法はアメリカ原案のものを微修正する形で、最終的に当時の議会で承認されました。共産党だけは反対していましたが、ほぼ全会一致であったため、 “押し付けられた” と言うことはできないでしょう。

 また、アメリカが原案を書いているのですから、“自主憲法” と呼べるものではありません。要するに、押し付けられたのではないが、自分たちでゼロから作ったものでもないのです。

 

 日本国憲法には9条が存在したため、アメリカの軍事力にタダ乗りすることができました。その結果、国家予算を国防費に回す割合を低くすることができ、高度成長を行う原資となったのです。

 しかし、日本が明らかに先進国の仲間入りを果たすと、防衛費が極端に低い日本に対する不公平感がアメリカ国内で広がり始めました。

 『世界3位の経済大国』が『世界1位の経済大国』に安全保障を丸投げしているような状況なのです。「なぜ、世界でも屈指の経済大国が自分の国を自分で守らないのか」という疑問が生じることは当たり前と言えるでしょう。

 今後、アメリカは世界規模に展開し続けてきた軍を国益に沿う形で配置の最適化を行うことが予想されます。日本が位置する東アジアは『規模縮小の可能性がある現状維持』が現時点で高いと思われます。

 

 在日アメリカ軍が撤退する可能性が存在することを現実の問題として定義し、そうような事態に陥った場合に対して備えておく必要があるのです。

 沖縄では米軍基地への反対活動をしている勢力がいますが、その後の防衛はどうするのでしょう。“力の空白” が生じれば、そこに武装勢力が流れ込み、混乱が生じることはシリア、イエメン、ウクライナなど世界中で証明されています。

 逆に言えば、“力の空白” の状況を生み出すことができれば、武力を背景に自らの望む形を実現することができるのです。日本国内でそういったことが発生しないように、目を光らせておくことは必要であると言えるでしょう。

 また、いざという時のために憲法改正に向けた準備・議論は不可欠です。現在では正しい内容であっても、取り巻く環境が変化した時のためにどのように変更することが望ましいのかを考えておく必要があるのではないでしょうか。