三反園知事の川内原発運転停止要請は独裁者の振る舞いである

 九州電力が保有する川内原発に対し、何の権限も持たない三反園訓・鹿児島県知事が運転停止を要請しました。

 この行為自体が “立憲主義” から明らかに逸脱するものなのですが、反原発を主張する朝日新聞は8月27日付けの社説で「九電は懸念と向き合え」と主張しているのです。なぜ、法治国家としてあるまじき行為をしている知事を批判しないのでしょうか。

 

 稼働中の原発をログイン前の続き止める権限は知事にはない。しかし、三反園氏は7月の知事選で川内原発の一時停止を主張し、再稼働を認めた現職を破って当選した経緯がある。

 九電は、知事が示した懸念を正面から受け止めるべきだ。

 (中略)

 点検後に再び稼働させようとする際、知事が九電の対応に満足できなければ、その反対を押し切って動かすことは現実には難しかろう。九電は結局、三反園氏が今回示した課題に対し、納得できる回答を示すしかないのではないか。

 

 「行政手続き上、文書を残さずに妨害できるのだから、知事の意向を九州電力が読み取って “自主的に” 運転を停止するべきだ」と朝日新聞は社説で訴えているのです。

 この手法を用いることで、九電が行政訴訟を起こしたとしても鹿児島県が敗訴するリスクを下げることができるからです。行政が妨害したという証拠を九電に(文書として)与えなければ、証拠不十分となり、責任を逃れることができるからです。

 

 法的根拠に基づかない行政からの「お願い」はすべて無視するべきです。熊本で発生した地震の影響が不安視されると主張するのは、川内原発でどれだけの揺れがあったのかを調べる能力もないのでしょう。

 観測された揺れは震度2未満で、自動停止する揺れ幅よりもはるかに小さいものでした。

 三反園知事が懸念を持つのは九州電力の川内原発ではなく、JR九州が保有する九州新幹線の方です。川内原発は地震による影響は皆無でしたが、九州新幹線は熊本駅付近で1編成が脱線しました。

 高速で営業運転中の新幹線が地震によって脱線・転覆となっていれば、多数の死傷者が発生する大惨事となる可能性があったのです。三反園知事は新幹線の安全が確認されるまでJR九州に対し、運行を停止するよう「お願い」をしなければなりません。

 

 仮に三反園知事が川内原発の運転を「お願い」で停止させようとしたり、定期点検後の運転再開を妨害するのであれば、九州電力は損害賠償を三反園知事および鹿児島県に請求する裁判を起こすべきです。

 そして、裁判を前提に「法的根拠に基づく運転を妨害された」という証拠に当たる文書などを出させるように仕向けておく必要があると言えるでしょう。

 三反園知事がやろうとしていることは “無法者” の振る舞いです。その振る舞いをオピニオンペーパーを名乗る朝日新聞が応援しているのですから、世間一般に反原発運動が広まらないことは当然です。

 

 法的根拠に基づかず、原子力発電所の運転を停止することで、年間3兆円が余分に燃料費として国外(主に中東の産油国)に流出し続けています。その上、電気代も上昇しているのですから、国全体としては貧しくなる傾向にあると言えるでしょう。

 もっとも、日本全体が貧しくなってくれれば、メディアとしては「貧困問題」を次の社会問題としてスポットライトを当てることができます。

 貧困問題はメディアにとって新しい “メシの種” となるのですから、貧困が蔓延する主義・主張にはある程度は目をつぶるでしょう。なぜなら、高給取りの既存メディアに勤務する人々にとっては「他人の貧困問題」に取り組み、問題を解決する必要も動機もないからです。

 政府に対し、「税金で貧困層を救済しろ」と主張するようになるでしょうが、その頃には国として貧しくなっており問題解決に費やせるだけの財政がないリスクがあることを念頭に置いておく必要があるのではないでしょうか。