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リベラルの皆さん、FIFAが父系主義を貫こうとしていますよ

スポーツ

 スペインのレアル・マドリードとアトレティコ・マドリードの2チームが18歳未満の選手をルールに反する形で獲得したことが問題視され、FIFAから1年間の補強禁止処分が下る可能性が非常に高くなっています。

 レアルを率いるジダン監督の子どもも処分の対象と報じられているのですが、当のジダン監督はFIFAの姿勢に批判の声をあげているとAFP通信が報じています。

 

 スペイン1部リーグ、レアル・マドリード(Real Madrid)のジネディーヌ・ジダン(Zinedine Zidane)監督は9日、18歳未満の外国人選手との契約に不正があったとして、国際サッカー連盟(FIFA)から補強禁止処分が科されたことについて、「ばかげている」と反発した。レアルに下された処分の対象には、ジダン監督の子ども2人が含まれている。

 

 処分のきっかけとなったのはFIFAが「18歳未満の選手は国外移籍を原則として禁止する」というルール(移籍条項第19条)を定めているからです。

 これはサッカー選手が移籍する際に多額の移籍金が発生するようになったことで作られた規則です。トップ選手ともなれば、移籍金は何十億円となります。

 そのため、若手有望株の選手を “青田買い” する傾向が貧しい国や地域を中心に強まり、人身売買的な状況を生み出す温床と化す恐れがあったために原則として未成年の選手は国外移籍を禁じる方向となったのです。

 

 しかし、現実には例外規定も設けられています。その基準に合致していれば、選手が未成年であったとしても国境をまたいだ移籍は可能となっています。

  1. 自宅が国境から50キロ以内で、移籍する隣国のクラブも国境から50キロ以内にあり、両国のサッカー協会が合意した場合
  2. 16歳以上18歳未満でEU内またはEEA内での移籍する場合
  3. 両親がサッカー以外の理由で引っ越しをした場合

 例外規定として定められた3つのケースは妥当なものと言えるでしょう。これらの事例に該当する場合は選手が未成年者であっても、移籍を認めるべきです。

 

 1のケースは都道府県や市町村の境目に近いエリアで生活する人は実感しているはずです。「隣の自治体にある学校の方が近い」のだから、利便性という合理的な理由から例外規定を設ける必要性はあると言えるでしょう。

 2のケースは高校野球の越境留学と同じです。高校生の年代となれば、移動の自由が保障されているシェンゲン協定の加盟国間の移籍であれば認められるべきという考えが根幹にあるからです。

 3のケースは両親の都合に配慮したものになっています。例えば、日本の商社に務める両親がヨーロッパに赴任し、子どもが赴任先のサッカークラブに入ることができないとの制限があってはならないためです。

 ですが、これら3つの例外項目だけでは問題があることが明らかです。その例がジダン監督(レアル・マドリード)の件と言えるでしょう。

 

 ジネディーヌ・ジダン監督はアルジェリア系フランス人。選手時代の2001年にユベントス(イタリア)からレアル・マドリード(スペイン)に移籍し、その後はスペインで居住していました。

 確かに、FIFAが定めた例外項目のいずれにも該当していないため、ジダン監督の子どもはルール違反をしたように思われるでしょう。

 確かにジダン監督自身はフランス人です。しかし、ジダン監督の妻はスペイン人であり、子どもは4人ともフランスとスペインの二重国籍なのです。スペインの国籍を持つジダン監督の子どもがスペインで出場停止処分を受けるのは如何なものかと言えるでしょう。

 日本では民進党の蓮舫代表代行に二重国籍疑惑が湧き起こり、「二重国籍は多様性の象徴」と擁護の声をあげている人々も存在します。そのような人々にはFIFAに対し、「ジダン監督の子ども(エンツォとルカ)を処分に科すことはあってはならない」と批判の声をあげるべきなのです。

 「両系主義どころか、父系主義を貫こうとするFIFAの態度は到底容認できないと声を大にして言うべきでしょう。

 

 FIFAが定めた未成年者の国外移籍に対する例外規定には問題があることも事実です。その1番の問題は「選手の子どもに対する想定が抜け落ちていること」です。

 ジダン監督のように、国際移籍は一般的となっています。そのため、家族を持つ選手は家族とともに移籍しますし、クラブに良い影響をもたらした選手は国籍に問わず、現役引退後もクラブに留まって欲しいとオファーを受けるケースは一般的です。

 日本だと、ドイツでプレーする長谷部誠選手がそうしたオファーを受ける可能性が高い選手の1人でしょう。将来、長谷部選手の子どもがサッカー選手になろうとした場合、現行のFIFAルールでは “違反” と見なされてしまうのです。

 したがって、「両親がプロサッカー選手で、移籍が理由で引っ越しをした場合」は例外項目に追加すべきと言えるでしょう。ただ、この条文だけだと “幽霊選手” を悪用するクラブが出てくるため、最低3年間は当該国クラブでのトップチーム登録があることなどを条件として付けることで制限すべきだと思われます。