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オプシーボの価格設定から見える現行の社会保障制度の限界

社会

 日本が財政破綻する要因として最も可能性が高いのは増加の一途をたどる社会保障費によるものです。

 財務省は肺がんなどの治療薬「オプシーボ」の価格を従来の改定時期を待たずに臨時に引き下げるよう厚労省に求める方針を固めたとNHKが伝えています。このニュースからも、現状の社会保障制度は限界に達しつつあると言えるでしょう。

 

 財務省は、国の財政を圧迫している医療費の伸びを抑えるため、高額な肺がんなどの治療薬「オプジーボ」の価格を、再来年4月の薬の価格の改定を待たずに臨時に引き下げる措置を実施するよう厚生労働省に求める方針を固めました。

 (中略)

 患者1人当たり年間およそ3500万円の費用がかかるといわれる肺がんなどの治療薬「オプジーボ」は、当初、想定されていた30倍以上の患者に使われるようになり、薬の売り上げは今年度、1260億円以上に達する見込みになっています。

 

 健康保険に加入している人が病院の窓口で支払う負担額は3割となっています。しかし、それでは患者の負担が青天井になってしまうため、実際には『高額療養費制度』に基づく上限が設定されています。

  • 「オプシーボ」使用時の単純な3割負担:1050万円
  • 高額療養費制度:127万2900円
    • 3ヶ月目まで:月額174,100円
    • 4ヶ月目以降:月額83,400円

 現行ルールで最も負担額の重い区分A(標準報酬月額53万円以上の方)に属する人であっても、窓口負担額は 3.7% ほどに抑えられる仕組みなのです。

 ちなみに、被保険者や市区町村民税の非課税者など(区分C)は年間32万7600円が上限であり、「オプシーボ」を処方された際に『高額療養費制度』を利用することで窓口負担の割合を 1% 未満に抑えることが可能となるのです。

 

 さすがに現状の社会保障制度は限界に達しつつあると言えるでしょう。なぜなら、本人負担分以外は社会保障費から捻出し続けている状況だからです。

 「オプシーボ」は飛び抜けた薬価が設定されていたため、注目されていますが、病院での治療は1つの薬だけで行うのではありません。診察や医療行為が点数化されており、それによって診察費が決定される仕組みなのです。

 「MRIなど検査機器を使用するだけでも、費用がかかる」ということは理解を示されるでしょう。しかし、患者として同じ医療サービスを受けるにもかかわらず、負担額が異なるのは不公平感を強く覚えます。

 

 後期高齢者は1割負担で、生活保護受給者は無料で3割負担をしている人々と同じ医療サービスを受けることが可能です。

 現状の負担割合を継続するのであれば、3割負担をしている患者に対し、受診する優先権を与えるべきでしょう。医療従事者から受けるサービスは患者として同じであるにもかかわらず、負担は大きいというのは不公平感を抱く温床となるだけです。

 増加し続ける社会保障費の抑制に本腰を入れなければならないのは明らかです。『高額療養費制度』が存在しているのですから、「高額すぎる薬価の保険適用を認めない」、「同じ医療サービスを受けるのだから窓口負担は均一に3割負担をする」という暫定対応だけでも即座に実行すべきです。

 「弱者切り捨て」などと主張するメディアが出てくるでしょうが、彼らが “弱者” と定義するカテゴリに属する人々は医療費の実費負担という点において十分すぎるほど優遇されてきました。その制度自体が限界点に達しつつあるということなのです。

 

 実費負担の割合を等しくした上で、「どの部分まで社会保険の適応を認めるのか」という現実的なテーマについての議論をする必要があると言えるでしょう。

 キレイゴトを主張することで、病気が治ったり、社会保障の関連費用が抑制されるのであれば、思う存分主張すべきです。そうでないなら、緊急性と重要性の高いテーマとして真っ当な議論を行うべきなのではないでしょうか。