ハンガリーの「難民受け入れに積極的反対が40%超」が与えるインパクト
ヨーロッパの中で難民受け入れに対し、政府が否定的な見解を示しているハンガリーで受け入れの是非を問う国民投票が行われました。
規定の 50% には到達しなかったのですが、投票の大部分が反対票を投じられたとNHKも報じています。投票所までに足を運ぶ “積極派” の割合が明らかになった点でも大きいと言えるでしょう。
ハンガリーでは2日、右派のオルバン政権の呼びかけで、中東や北アフリカからの難民をEUの加盟国が分担して受け入れることの是非を問う国民投票が行われました。その結果、投票率は43%余りで規定の50%には及ばず、国民投票は不成立に終わりました。
ただ、有効票のうち「受け入れに反対」したのは全体の98%以上の325万票に上り、2003年に行われたEU加盟の是非を問う国民投票で加盟を支持した305万票を上回りました。
ヨーロッパでは珍しく、ハンガリーではメディアから『右派』と呼ばれるオルバン政権が政治を司っています。「難民の受け入れ」よりも「自国民を優先」するスタンスが顕著であり、今回の国民投票はその姿勢が正しいかを見る指標にもなったと言えるでしょう。
投票結果は以下のような結果となりました。
- 投票を行った有権者:43%
- 受け入れ反対:98%以上(全体の42%:325万票)
- 受け入れ賛成:2%未満
- 投票を棄権した有権者:57%
この結果から、「難民受け入れは国民が容認している」と主張する政治家はいないでしょう。
有権者の 42% が「積極的に反対」の意志を示しており、投票に足を運ばなかった “中立的な立ち位置” を採っている人々の9割弱が「難民受け入れ賛成派」であると主張する根拠があまりに脆弱だからです。
「受け入れ反対」と「受け入れ賛成」の数値が拮抗していれば、そのように主張もできたでしょう。しかし、受け入れ賛成派には厳しい現実となりました。
文化・価値観が異なる難民を大量に受け入れるには大きなコストが必要となるのです。特に、治安維持費や(現地の言葉を理解できない難民が受給することが確実視される)生活保護などの社会保障費の急激な増大を避けることはできません。
こうした問題に対する想像力が「難民歓迎」を叫ぶリベラルには欠如しているのでしょう。
実際に以下のようなケースが起きることが想定されるのですが、「難民受け入れ積極派」はどのような立場なのかを明確にする必要があると言えるのではないでしょうか。
- イスラム教徒の難民が現地ルールに適応せず、イスラム教の価値観に基づく生活を希望した場合
- イスラム教徒の難民が地域または全国規模で多数派となり、民主的な手続き(=選挙)などを経て、イスラム法に基づく統治体系が決定した場合
- イステムの「家父長的・男尊女卑的」と言われている価値観を根付いた場合
現実に起きる可能性があるのですから、立場を明確にしておく必要があります。問題が生じてから政府に対し、「対応に問題があった」と責任転嫁することはあまりに無責任なことと言えるのではないでしょうか。