日弁連は政治活動をするな、したいなら弁政連のような任意団体でやれ

 日本で弁護士として活動するには日弁連、日本弁護士連合会に加入する必要があります。

 そのため、日弁連は “強制加入団体” という位置づけなのですが、最近では政治的な声明を発表する傾向が強まっています。日弁連主催の人権大会で「死刑制度廃止の宣言案」を提出する見通しなのですが、その動きに対し、一部の弁護士が反対声明を発表したと朝日新聞が報じています。

 

 日本弁護士連合会が7日に福井市で開く人権擁護大会で死刑制度廃止の宣言案を提出することについて、犯罪被害者の支援に取り組む弁護士らでつくる「犯罪被害者支援弁護士フォーラム」が3日、「犯罪被害者の人権や尊厳に配慮がない」などとして採択に反対する声明を発表した。

 声明では、弁護士の中でも死刑に対しては様々な考えがある中で、「強制加入団体である日弁連が一方の立場の宣言を採択することは、日弁連の目的から逸脱し、個々の弁護士の思想・良心の自由を侵害する」と指摘。

 

 日弁連は弁護士業務を遂行する上で必要となる制度の維持・運営が本来の目的であるはずです。しかし、最近では安保法制に反対する声明を発表するなど、左翼活動を行っている様子がメディアで報じられている状況です。

 日本は『思想・良心の自由』が認められている国ですから、弁護士が個人として持つ見解は自由が認められるべきでしょう。

 しかし、強制加入団体である日本弁護士連合会(略称:日弁連)が政治活動を行うことは本来の目的から大きく逸脱していると言わざるを得ません。弁護士から多額の会員費を徴収し、その資金で政治活動を行う正当性がどこにあるのでしょうか。

 

 政治活動を行いたいのであれば、日本弁護士政治連盟(略称:弁政連)のように任意団体として活動すべきです。

 自発的に賛同する弁護士を集め、その上で政治的見解を述べて活動する。そのスタンスが貫かれているのであれば、問題視される理由はありませんし、「弁護士は政治活動をするな」という批判を受けることもありません。

 強制加入団体の上層部に位置する一部の弁護士が決定した政治的スタンスを会員全員が賛同させられるという点ほど奇妙な点はないはずです。

 “公的機関” に順ずる組織であるという建前で、弁護士自治が認められている状況下で、政治活動を行うのであれば、「国民の審判を受ける立場である政治家のように審査を受けるプロセスを設けるべき」という声が強くなることでしょう。

 

 犯罪事件でも最も保護されるべきは『被害者の人権』であるべきです。しかし、「更生の機会が与えられるべき」との理由で『加害者の人権』に重きが置かれていることが現状と言えるでしょう。

 日弁連が政治活動を本格化させようとしている死刑制度廃止は『加害者の人権』に考慮したものです。被害者遺族に対し、「民事上での賠償が完遂される保証」を日弁連がするのであれば、死刑制度を廃止できる可能性は高くなると思われます。

 そうでなければ、「民事上の賠償金は支払い能力がない」という理由でこれまで通り逃げ続け、死刑制度廃止によって生き続けることも可能になるのです。まともな “落とし前” を提示することすらせず、「人権を尊重せよ」などと叫んだところで共感が広がることはないと思われます。

 

 少なくとも、強制加入団体である日弁連は政治活動をすべきではありません。やりたいのであれば、任意団体を設立し、有志を募って活動すべきです。

 その任意団体が、刑事事件で死刑判決が下った加害者を救うため、被害者遺族に対して「民事上の賠償が完遂する保証」をすれば良いのです。そのような交渉も行わず、死刑制度だけを廃止せよと主張するのはあまりに虫が良すぎると言えるのではないでしょうか。