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農業に経営感覚を持ち込まない限り、衰退を止めることはできないのでは?

 日本農業新聞は「2050年には農業人口が半減し、その3割は85歳以上になっている」と自民党プロジェクトチームが試算したことを伝えています。

 少子高齢化が進む現代では衝撃的な数字とは言えないでしょう。若い世代を確保することは農業だけの課題ではなく、社会全体のテーマとなっているからです。

 

 2050年には農業人口が半減し、100万人程度に。そのうち3割は85歳以上ーー。自民党の農林水産業骨太方針策定プロジェクトチーム(PT、小泉進次郎委員長)がこんな試算をまとめた。国内の農業生産を維持できないとみて、11月に決める環太平洋連携協定(TPP)の中長期的対策に、人材育成や労働力の確保策を盛り込む。

 

 「人材育成」や「労働力の確保」をテーマとしていますが、それは多くの業界が抱える共通の問題です。したがって、農業にどれだけの魅力があるかが大きな課題と言えるでしょう。

 農水省は現時点で次のようなテーマに取り組む考えを持っていると記事で言及されています。

  1. 農業大学校の専門職業大学化
  2. 就農の入り口となる農業法人での雇用拡大
  3. 青年就農給付金制度の改善
  4. 地域で農業をしながら経営学を学べる農業経営塾
  5. 外国人労働力の確保

 農業に人が集まらない理由は「稼ぎが悪いから」という部分が大きいでしょう。資金を持つ企業の参入が許されず、零細農家を守るために補助金が注ぎ込まれ、高い参入障壁があるために価格が高止まりし、消費者からそっぽを向かれている状況にあるからです。

 

 “保護産業” として国から守られていれば、最低限の収入は約束されます。しかし、税金による保護を受けている以上、産業全体としては儲かっていないということでもあるのです。

 市場では経営に失敗した企業は退場(=倒産)させられます。ところが、農業ではその機能が働いていないのです。

 また、JAのように農家のために働いているのか分からない組織が流通に深く関与していることも農家の所得を押し下げている原因になっています。組合費を徴収する “ピンハネ” で農家から養われている状況では、農業所得が上がることはないでしょう。

 「農業=企業経営」の感覚がなければ、農業生産を効率化させ、維持することは困難です。ですが、経営感覚を持っている人ほど、現行規則が障害になっていると感じ、農業から距離を採ると思われます。

 

 まず、企業参入が禁止されているのですから、多額の資金を必要とする戦略はすべて使えません。農家の所得を上げるには「収穫量を増加させる」か「生育コストを削減する」かのどちらかなのですが、“それなりの資金” が必要となります。

 しかし、零細農家にそのような資金を用意することはまず無理でしょう。

 『昔ながらの伝統的な農業』を引き継いだ結果が農家の所得水準なのです。どれだけ優れた農作物を作ったとしても、消費者がそれを買い求めなければ意味のないことです。

 「流通経路の開拓」や「他の農作物との差別化」をどうするのかという “営業” や “ブランド戦略” という経営学で紹介される項目をさらに深掘りする必要がある部分も存在するのです。

 

 『日本産』というセールスポイントがないのであれば、日本全国の農家が競争相手となります。また、TPPによって関税が撤廃されれば、外国の農作物との競争も余儀なくされるでしょう。

 品質・安全性が確保されている農作物であれば、消費者は価格の安い方を選択するからです。日本の農家がTPPで定められたルールに則る形で海外市場に参入することも可能になる訳ですから、経営力を元手に商品力があれば、所得を大きく増やすことができるチャンスがあると言えるのではないでしょうか。