選挙で男女の候補者数を均等にするなら、小選挙区比例代表並立制は廃止せよ

 NHKによりますと、自民党・公明党・日本維新の会が国や地方の議員選挙で候補者の男女の割合をできる限り均等する法案を今国会に提出する方針であるとのことです。

 これほど意味のない法案はありません。議員に求められることは「政治家として能力」であり、「男女の割合が同じであること」ではないからです。

 

 自民党、公明党、日本維新の会の3党の有志の議員がまとめた法案では、国や地方の政策に国民の多様な意見を反映するためには、政治の場で男女共同参画を推進することが一層、重要になると指摘しています。

 そのために、国会議員や地方議員の選挙で候補者の男女の数ができるかぎり均等になることを目指すとしているほか、政党や政治団体は男女の数の目標を定めるなど、自主的に取り組むよう努めるとしています。

 

 議員を選ぶ権利は有権者が保有しています。有権者は日本人なのですが、総務省統計局が発表した平成28年(2016年)4月の人口推計・確定値(PDF)から有権者の人数を確認することにしましょう。

表1:日本人人口(2016年4月1日現在、単位:千人)
年齢階級 男女計 男性 女性
総数 125,207 60,917 64,290
0〜19歳 21,793 11,164 10,629
20歳以上 103,414 49,753 53,661

 選挙権が18歳以上に引き下げられましたが、20歳以上の有権者数では女性票が男性票を400万票上回っているのです。

 女性票の方が多いことが統計資料から明らかとなっている環境で普通選挙が行われ、その結果として男性議員が有権者から多く支持された。それだけのことなのです。なぜ、議員候補者の男女割合を均等にする必要があるのでしょうか。

 

 「女性は女性候補に投票する」という考えは偏ったものです。“有能な政治家” が国会に送り出されるべきであり、性別など特定の条件によって優遇されるのは典型的なアファーマティブ・アクションによる弊害と言えるでしょう。

 この法案が提出・可決されるということは「女性はバカだから、下駄を履かせる必要がある」と主張しているも同然です。

 女性有権者の方が数が多いのですから、小選挙区では女性票を無視することはできません。実力のある議員は性別に関係なく、有権者からの支持を得て、多数派として選挙に勝利します。

 少なくとも、現状で男女の割合調整を行った結果、女性議員候補が増加するとどうなるかを考えてみる必要があります。

 

 特に、比例選挙による候補者の順位付け方法を見直す必要があるでしょう。衆議院議員選挙では小選挙区と比例区での重複立候補が可能であり、復活当選した議員がほとんどです。

 重複立候補を認めることは政党が “候補者の議員としての資質” を担保することを意味します。しかし、肝心の資質を有している根拠を具体的に党として示したことがあったでしょうか。

 口先だけで具体的な政策を持たなければ、“対案” という名目で批判するしかできない女性議員が増えることは無駄な出費が増えるだけです。能力を持たない人物を候補者として強制的に擁立することほど馬鹿げたことはないことを自覚する必要があると言えるのではないでしょうか。