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高校時の成績が平均4以上で奨学金を得られるシステムは教員による不祥事の温床となるだろう

教育

 導入されることは確実視されている給付型奨学金について、与党・自民党は「高校時の成績が5段階評価で平均4以上」を条件に調整を進めていると朝日新聞が報じています。

 この自民案は給付型奨学金が本来持つべき意義を失っていると言えるでしょう。いくつかの問題点が浮き彫りとなっているからです。

 

 自民党は、返済する必要がない給付型奨学金について、原則として高校時の成績が5段階評定で平均4以上であることを条件に、月3万円を給付する方向で文部科学省と調整を始めた。対象者は7万5千人程度になると見込んでおり、年300億円近くが必要になるとみている。具体的な制度案について、来週にも取りまとめる。

 給付型奨学金を創設する最大の目的は「学力は十分に有しているが、家庭の経済的な理由により大学進学を断念せざるを得ない生徒を支援する」というものです。

 しかし、自民案として朝日新聞が報じた内容はこの目的から逸脱したものと言えるでしょう。

 国の税金を投入する訳ですから、給付の対象は日本人に限定されるべきです。また、進学希望者全員に給付するのではなく、学力の高い生徒に限定して給付することが不可欠になります。

 

 現状の自民案は以下のような問題を抱えています。

  • 高校間の学力差を無視する理由は?
  • 教員が恣意的に成績を付けることが可能な現状への対処策は?
    • 大学入試の成績ではダメなのか?
    • センター試験など基礎学力を測定する全国統一テストの成績で運用すべきでは?
  • 奨学金給付を狙い、学力の低い高校に優秀な生徒が流れるのは本末転倒では?

 

 1番の問題は「高校間に存在する学力の差を完全に無視していること」と言えるでしょう。自民案では「進学校で成績が平均 3.8 だった生徒」より、「偏差値が40を切る学校でも成績が平均 4.2 だった生徒」の方が奨学金を得られるシステムなのです。

 相対評価になっている現状で、後者の条件に該当する生徒を資金面で救済する必要があるのでしょうか。

 給付型奨学金を創設する意義は「学力は十分に有しているが、家庭の経済的な理由により大学進学を断念せざるを得ない生徒を支援する」というものであるべきです。「低所得者への支援プログラムの1つ」という形態で運用されてはならないものでしょう。

 

 また、高校時の成績に準じて給付型奨学金を受給できるかが決定する自民案では成績を付ける立場にある教員が不祥事を起こす温床にもなり得るリスクのあるシステムです。

 成績が給付型奨学金の可否に直結する訳ですから、“悪の誘惑” に敗ける教員が必ず出てくることになるでしょう。教員の絶対数が多い状況ですので、問題を起こす教員は遅かれ早かれ発覚することになると思われます。

 就職面接では「推薦入試か、一般入試か」を聞かれることが一般的になって来ています。AO入試で入学した生徒の学力が疑問視されている状況で、同様のやり方で成績を付けた生徒に給付型奨学金を与えることは同じ結末になるリスクがあります。

 

 学力に難のある生徒に対しても、生活が苦しいという理由で奨学金を給付することはナンセンスなことです。「何が貧困であるかはこちらで決める」という身勝手な反貧困団体が跋扈することを許すような政策を行う方針は見直す必要があると言えるのではないでしょうか。