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ヒラリー・クリントン大統領の誕生が確実だが、不安定な大統領になりそうだ

 アメリカ大統領選では支持率が大きく上下する要因であるテレビ討論会が終了し、残す大きなイベントは本選のみという状況です。

 読売新聞ではアメリカCNNが「クリントンが討論会で3連勝」と報じた記事から、勝利に大きく前進したと伝えています。しかし、差を縮められていることは確かであり、就任後の舵取りが難しくなることが考えられるでしょう。

 

 11月8日の米大統領選に向け、最後の候補直接対決となる第3回テレビ討論会が19日(日本時間20日午前)、ラスベガスのネバダ大学で行われた。

 民主党候補ヒラリー・クリントン前国務長官(68)に支持率でリードを許す共和党候補ドナルド・トランプ氏(70)が巻き返せるかどうかが最大の焦点だったが、逆転にはつながらず、クリントン氏が勝利に大きく前進したとの見方が強まっている。

 

 トランプ氏は劣勢の状況からスタートしており、テレビ討論会などで逆転できるかが鍵と見られていました。

 CNNはリベラルの立ち位置を採っていますので、その視聴者が民主党候補を有利と見るバイアスがかかっています。保守的なスタンスではFOXがあり、そうした前提条件を踏まえておく必要があります。

 クリントン候補に懸念が持たれる部分は討論会で回を重ねるごとに、討論会でクリントン候補が勝利したと考える人の割合が減っていることでしょう。CNNの視聴者を対象にしたアンケートで数字が下がっていることはネガティブな点です。

 

表1:討論会の勝者と答えた割合(CNN調べ)
クリントン候補
(民主党)
トランプ候補
(共和党)
第1回 62% 27%
第2回 57% 34%
第3回 52% 39%

 トランプ候補は過去の言動が災いしてか、スキャンダル的な報道が討論会が行われている最中に(真偽の怪しい)ゴシップ記事的なバッシングを受けました。

 そのような記事は支持率を下げる要因として働くのですが、そうした効果は数字には現れていません。1度目の討論会からクリントン候補が10ポイント下げた一方で、トランプ候補は12ポイント上げているのです。

 リベラルが多いCNN視聴者を対象とした調査で討論会の回を重ねるごとに「勝利した」と考える人の割合が下がっている現実がある訳ですから、「勝利に大きく前進した」と言うことはできないでしょう。

 

 アメリカ大統領選挙で重要となるのは「激戦州で勝利することができるか」です。そのため、全米規模での候補者支持率はそれほど重要ではなく、民主党候補が勝利したり共和党候補が勝利したりするスウィングステートでの勝敗が鍵を握っているのです。

 共和党の牙城であった南部テキサス州やフロリダ州では南アメリカからの移民の数が増えることに比例し、民主党の支持層が増えています。

 そのため、共和党は政策の方針転換を行わない限り、大統領選挙に勝利することは人口の割合から極めて難しくなります。ですが、都市部と比較して郊外地区では移民の割合が低いため、“反移民” や “反TPP” の主張をする有権者の圧倒的な支持を得た議員が産業分野で存在感を放つ傾向が強まることが予想されます。

 

 トランプ候補を大統領選挙で破ったとしても、トランプ候補の支持者が感じている不満に対する有効な政策を提示・実行できないのであれば、“トランピュリズム” の火は燃え上がったままになるでしょう。

 口先だけで実行力が伴わなかったオバマ現大統領が残す問題の対処にも当たる必要があるのです。次期大統領が確実視されるヒラリー・クリントン氏にその役割を任せるのか、アメリカの有権者が下す判断に注目です。