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敵国が核兵器を保有する中、“核の傘” を否定する主張を行うリベラルの知性は致命的だ

社会

 国連で核兵器禁止条約制定に向けた交渉を行うという決議について、日本が反対の立場を表明したことを朝日新聞が10月29日付け社説で批判しています。

 “被爆国” として先頭に立つべきと主張していますが、意味のないことでしょう。核兵器の問題は感情論で解決するものではないからです。

 

 日本は核保有国の米ロ英仏とともに反対した。これまでも日本は条約交渉に慎重だったが、反対表明は、より核保有国に近い立場をとると宣言したに等しい。理解しがたく、きわめて残念だ。広島、長崎の被爆者や内外の平和NGOから非難の声が相次ぐのも当然だ。

 (中略)

 政府内では、北朝鮮が核・ミサイル開発を進め、東アジアの安全保障環境が悪化する中、米国の核の傘は欠かせないとの考え方が強い。ただ、非核保有国側はただちに核の傘を否定しているわけではない。まずは条約の交渉開始を求めている。

 

 北朝鮮のように厳しい経済制裁を科されようとも、核兵器の開発を続ける国家が存在します。つまり、国際条約があったとしても、意図的に無視をする国が出てくることは十分に想定できることなのです。

 では、核保有国やその疑いが強い国が素直に核兵器禁止条約に従うでしょうか。

 「核は廃棄した」と虚偽の申告をし、隠し持っていた核兵器が多い国ほど “裏切りによるリターン” が大きくなるのです。このような状況下で『核兵器禁止』を条約として定めることほどナンセンスなことはありません。

 

 核兵器を “非人道の極み” であると考えるなら、日本が採らなければならない政策は「2度目・3度目の被爆国にならないこと」です。『核兵器禁止条約』の制定はそれが実現するための有効策であるかを考える必要があります。

 『核兵器禁止条約』が制定されたとしても、現在地球上に存在する核兵器が消滅することを意味するのではありません。核兵器は残存していますし、発射するかの決定権は核保有国にあるままです。

 「国際社会から圧力で核兵器を廃絶させるべき」と主張したところで、すべての核保有国がその働きかけに同調する保証はありませんし、経済情勢が厳しい国なら暴発するリスクも十分に考えられるでしょう。

 また、「非核保有国側は “核の傘” をただちに否定している訳ではない」との主張内容には矛盾が含まれていることにも注意が必要です。『核兵器禁止』を条約で定めることを要求しておきながら、核兵器による相互牽制は認めるというダブルスタンダードになっているためです。

 

 地球上に存在するすべての核兵器を同時に消滅させる具体的な方法があるなら、『核兵器禁止条約』に反対する必要もなくなるでしょう。

 具体策を提示せず、「被爆国として核廃絶の先頭に立つべき」と主張するのは市民団体のレベルで知性を売りにする報道機関のすることではありません。日本国内の被爆者団体や平和NGOとして活動している団体は北朝鮮に対し、どのような姿勢を採るべきだと考えているのでしょうか。

 少なくとも、現在の北朝鮮のように条約を無視する事実上の核保有国から核兵器を根絶させる具体的な手段が存在しなければ、『核兵器禁止条約』などは採択するために時間を費やすことすら無駄なことなのです。

 

 日本は “アメリカの核の傘” に守られています。それを全否定する条約の制定を求めるのであれば、安全保障上の具体的で有効な代替策を提示する必要があることは自明なことです。

 「べき論」を述べるのは誰にでもできます。キレイゴトを述べたところで、現実世界で実行可能で有効性がなければ、意味を持たないことをリベラル界隈は気づく必要があるのではないでしょうか。