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「健康ゴールド免許」の導入を否定した結果が歯止めの効かない医療・介護費増大の原因ではないか

社会

 自民党・小泉進次郎議員ら若手議員が社会保障改革案として「健康ゴールド免許」の導入を打ち出していると朝日新聞が伝えています。

 このニュースに対し、「医療や介護を簡単に考えるべきでない」と反対意見を述べている人々もいます。社会保障は “セーフティーネット” の役割があるため、誰でも等しく利用する権利があるという根拠に基づく考えなのですが、その考えには問題があることも事実です。

 

 自民党の小泉進次郎・農林部会長ら若手議員が26日、2020年以降の社会保障改革のあり方について提言をまとめた。定期検診などで健康管理に努めた人を対象に、医療保険の自己負担を3割から2割に引き下げる「健康ゴールド免許」導入などの施策を打ち出した。

 

 中田大悟氏は Yahoo 個人で “健康ゴールド免許” の導入に批判的な見解を示しています。

 価格差別を行うことは長谷川豊氏が主張した「自業自得の透析患者の費用は全額自己負担にし、無理なら殺せ」と同じだと主張しています。しかし、価格差別を行うことが問題なら、現行の健康保険制度こそ問題であると言わなければなりません。

 

 日本での窓口負担は3割です。しかし、後期高齢者は(現役世代並の収入がなければ)1割負担で済みます。これは価格差別と言えるでしょう。

 また、生活保護を受給している人は無料です。これではモラルハザードが起きて当然です。「誰もが同じ医療サービスを受ける」という前提での健康保険制度であるにもかかわらず、窓口負担額に差が生じているのです。

 その上、保険料の支払額にも差が生じていることを忘れてはなりません

 保険料は源泉徴収されるため、社会人の多くがあまり気にしないでしょう。月給の 10% 弱が天引きされているのですが、それと同額を雇用主である企業も支払っているのです。

 これは給与水準の高い人ほど多額の保険料を支払っていることを意味しています。ですが、その人に対する恩恵は「(保険料を支払っていない人も含めた)すべての人と同じ医療サービスを受ける権利を有する」というものなのです。

 これほどアンフェアな制度はないでしょう。平均の保険料納付額よりも多くの保険料を支払い、自己負担の割合は3割。受診優先権すら、与えられず、メディアからの「金持ちはもっと負担しろ」という身勝手な主張による批判の矛先とされるのです。

 

 「すべての人が同じ医療サービスを受ける」という前提で健康保険を運用するなら、負担の絶対額も同じにすべきです。そうすることで、“健康ゴールド免許” を導入する必要すら存在しなくなるでしょう。

 一定の所得水準を超える人々に多額の保険料を求めるのであれば、それに比例したリターン(例えば、優先的に診察を受けられる、窓口での負担割合が低いなど)を提示することは当然です。

 「誰でも同じ医療サービスを受けることができるように、金持ちは現状以上に負担すべき」と主張すれば、反感を招くのは時間の問題です。なぜなら、この主張内容は “フリーライダー” の主張そのものだからです。

 困っている人を支援しようと手を広げた結果が年間1兆円のペースで増え続ける社会保障費なのです。将来世代への投資に回すはずの資金・予算が老人世代の医療・年金・介護に費やされているのですから、身動きが取れなくなる現役世代が多くなって当然です。

 “線引き” が難しく、政府の動きが鈍いことを良いことに「医療・介護を甘く見るな」と主張する人々こそ、医療・介護によって予算が圧迫されている現実を甘く見ているのでしょう。

 

 サラリーマンの平均所得を超える水準の家庭で、子供が夜中に体調を急変させ、救急車で搬送されたが、満床を理由に受け入れ病院が見つからなかった。そのこともあり、子供は亡くなってしまった。だが、その病院では生活保護世帯の子供が病床のX%を占めていたと後に判明した。

 上記のようなことは起こり得ることですし、実際に起きていたとしても不思議ではありません。しかし、親からすれば、やり場のない怒りを覚えることでしょう。平均以上の医療保険を支払っていたにもかかわらず、肝心な時に権利を行使することを拒まれたのですから。

 そうした事例を取り上げ、「現行の社会保障制度で問題ないのか」と特集を組むメディアがあれば良いのですが、“弱者の味方” を自称するリベラル派ほど、自分たちの主張とは異なる意見に耳を傾けることはないでしょう。

 

 “健康ゴールド免許” 導入の声が出てきたのはリベラル派による「すべての人が同じ医療サービスを受けられるべき」というキレイゴトによるツケであったことを自覚する必要があるのではないでしょうか。