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少子化による学生数減少に合わせて教職員数も削減されるのは当然のこと

 財務省が公立小中学校の教職員約5万人を削減する案を文科省に求めたとNHKが報じています。

 「教育の重要性」が語られる状況で、教職員数を削減することには否定的な意見が多く出ることでしょう。しかし、少子化で生徒の数自体が減少しているのであれば、教職員も削減される提案が出されることは当然のことです。

 

 財務省は少子化の進展で、今年度の959万人の児童・生徒の数が、10年後の平成38年度には840万人になり、およそ119万人減る見込みになっていることを踏まえて教職員の定員の削減を求めることにしています。

 財務省は、障害のある子どもやいじめなどへの対応のために、現在の教育環境を維持しても公立学校の小中学校では教職員をおよそ4万9000人削減できるとした提言をまとめました。また、教職員を増やす前に、まずはスクールカウンセラーなど外部の人材を活用してその効果を確かめるべきだと主張しています。

 

 財務省の提言内容は「今後10年で生徒数が約120万人減る見込みなのだから、教職員数を約5万人削減すべき」というものです。

 教職員数が削減される点だけに着目すれば、財務省の姿勢を批判する人が多いでしょう。しかし、約120万人も生徒数が減少することが明らかであるにもかかわらず、現状の教職員数を維持することに理解を示す人はそれほど多くはならないと思われます。

 

 文部科学省は「さらなる教職員の定員の充実」を求めています。これは教職員の仕事が “よろず屋” 的になりつつあり、仕事量が膨大になっていることが原因です。

 現状では「生徒に関係することは学校側がすべてやれ」という要求がまかり通っている状況ではどれだけ教職員を補充しても、すぐに限界に達します。

 授業に向けた準備(=教材研究など)に加え、クラブ活動の顧問、障害のある子供への対応(=デイケア)、いじめ・非行への対応、学校行事に向けた準備など様々な分野に渡る仕事をすべて学校内で処理しなければならない状況となっています。教職員の仕事範囲の線引きが行われていないのですから、組織が肥大化するだけでしょう。

 例えば、“いじめ・非行” についても、一般社会では刑事事件です。しかし、生徒間であれば、その問題解決を担当する役目が任命されるのは教職員になります。

 捜査権限もノウハウも持たない素人ができることには限度があります。経験のあるプロフェッショナルにきちんとした報酬を支払い、アウトソーシングする方が早期解決も見込めますし、教員の負担軽減にもつながることでしょう。

 

 障害を持った子供へのケアについても同様です。保護者の視点では「普通の子供と同じ環境で教育を受けさせたい」と考えるでしょう。

 ただし、多くの教職員が “スペシャルニーズ” に対応するための訓練を受けていなければ、デイケアの知識・経験がゼロに近い状態であることを忘れてはなりません。もちろん、その分野に対する知識が豊富な教職員もいますが、多数派ではないため、負担が一部の教員に偏るリスクがあるのです。

 また、教員に介護研修を義務づける方法も選択肢として存在しますが、そうした資格を有する教員を雇用するには資格保有に対する手当を付ける必要があり、雇用コストが増加する結果となります。

 それなら、必要に応じて介護などのスペシャリストに報酬を払う形で学校内支援を要請する方がスムーズに進むことでしょう。

 

 まずは文部科学省が「学校で教職員に求められていること」を具体的に示し、そこから逸脱する部分や拡大解釈と見られる仕事内容については着手しないことを明確にする必要があります。

 教育が重要であるなら、教育から外れる部分での責任を教職員に負わせることがあってはなりません。特に、教員の権限との関係が低く、各家庭での “しつけ” が大きく影響する生活指導についても同様と言えるでしょう。

 ましてや、大阪市のように「教員が未払いの給食費を取り立てに行く」役目を負っているなど論外です。仕事量が許容範囲を超えているなら、人員を増やすことを訴えると同様に、どの仕事によって圧迫されているのかを調査し、対策を講じる必要があります。

 安易に人員を増やすことで乗り切ろうとする選択は本質的な問題を先送りにするだけのリスクがあるということを知っておく必要があると言えるのではないでしょうか。