「農水省を爆破する」との “卑劣な脅迫” は決して容認することはできない

 “無能な味方” ほど迷惑な存在はいません。

 失言問題でメディアから厳しい叱責を受けている山本有二農林水産大臣の事務所に「大臣を辞めなければ、農水省を爆破する」との脅迫メールが届いていたことが明らかになったとNHKが伝えています。

 「脅迫に屈して辞任した」という前例を作ることは民主主義に基づく国家では到底容認されません。むしろ、同情票が集まる結果となるでしょう。

 

 民進党などが辞任を求めている山本農林水産大臣の事務所に、先週、「大臣を辞めないと農林水産省を爆破する」という内容のメールが届き、事務所では、警察に対応を要請しました。

 山本農林水産大臣の事務所によりますと、先週、山本大臣のホームページを通じて、「大臣を辞めないと農林水産省を爆破する」という内容のメールが届いたということです。

 

 このニュースに対し、民進党は言及を避けています。しかし、現職の大臣に対して、「管轄省庁を爆破する」と脅迫する内容のメールが届いていることを無視することはマイナスと見なされることでしょう。

 民進党として採るべき姿勢は「山本農水相は大臣として資質に欠けることは明らかだ。しかし、大臣に対する脅迫は決して許されるものではない。民進党はそのような行為は決して容認しない」と脅迫および業務妨害という明確な違法行為は支持しないという方針を打ち出すことです。

 当たり前とも言える内容をメディアの前で宣言できなければ、民進党が支持率を上げることは不可能と言えるでしょう。

 

 脅迫という行為に出た人物が現れた時点で山本大臣を批判していた民進党やメディアは追加対応を余儀なくされます。「脅迫行為は容認しない」というメッセージを中間派の第三者に向けて発信しなければ、自分たちも犯罪行為を黙認する共犯者と見なされるリスクがあるからです。

 自分たちが政敵と見なした人物やその支持者の人権に無関心な勢力が “リベラル” を自称したところで、誰からも見向きされなくなることは当然です。

 多様性を訴える政党や勢力が「自分たちの主張内容に共感しない勢力を排斥している」のであれば、やっていることは『リベラルを名乗る排外主義』だからです。発言と行動が一致していないことが有権者に見透かされていることを自覚しなければなりません。

 情報の伝達経路が多様化した現状では、都合の悪い情報を隠すことは不可能です。むしろ、そうした情報が流れた際に、ダメージコントロールをどうするかに重点を置く必要があり、時代の変化に適応する必要があります。

 

 山本大臣の大臣としての資質を問題視するメディアは脅迫メールを送った犯人の姿勢を厳しく糾弾しなければならないでしょう。「脅迫されて当然」と考えているようでは “人権派” の看板を下さなければなりません。

 端的に述べれば、既存のごまかしが不可能になったのです。口先だけで、地味で目立つことのない実務による負担を他人に丸投げするリベラルの賞味期限は切れかかっていると言えるでしょう。

 実務をないがしろにする限り、どこかの時点で必ず有権者から断罪される結果が待ち受けているのです。キレイゴトで誤魔化せることには限度があることを自覚しておく必要があると言えるではないでしょうか。