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2017年フランス大統領選、右傾化の強風を抑えるにはオランドとサルコジの立候補取り下げが必須条件だ

国際

 アメリカ大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利したことは欧州に大きな衝撃を与えたことでしょう。特に、大統領選が2017年に予定されているフランスに与える余波に注目です。

 現職のオランド大統領を擁する与党候補が決選投票にすら残れない状況が確実視されており、右傾化することは確定的です。そのため、どのぐらい右に振れるのかが関心事と言えるでしょう。

 

 オランド大統領は左派・社会党の候補として「失業率の改善」や「景気回復」を掲げ、大統領に就任しました。

画像:大統領就任直後のオランド氏

 しかし、就任当初に「高所得者に対する大幅増税」で企業や富裕層を敵に回すと、改革を行うために必要な税収や企業の協力を失う結果を招きました。

 現状でさえ、労働生産性の低いフランスに投資する企業は少数派です。その上で、コストパフォーマンスがさらに悪化する政策を掲げているのですから、「フランスへの投資は企業への背任行為ではない」と説明できる企業は皆無に近い状況になるでしょう。

 

 解雇要件を緩和することで就労機会を増やそうとしていますが、求人を求める業界が見えてこないこともあり、「雇用が不安定化する」と逆効果を生み出す結果となっています。

 そのため、与党・社会党(左派)が2017年の大統領候補として選出を考えている人物が世論調査で支持を集めることができてない結果が浮き彫りとなっています。

 

表1:2017年フランス大統領選の世論調査(2016年10月)
得票率
与党候補:F. オランド 1:ジュペ(37%)
2:ルペン(29%)
3:メランション(12.5%)
4:オランド(11%)
野党候補:A. ジュペ
与党候補:F. オランド 1:ルペン(27.5%)
2:サルコジ(22%)
3:メランション(14%)
4:オランド(13%)
野党候補:N. サルコジ
与党候補:E. マクロン 1:ジュペ(33%)
2:ルペン(26%)
3:メランション(12%)
4:マクロン(11%)
野党候補:A. ジュペ
与党候補:E. マクロン 1:ルペン(25%)
2:サルコジ(20%)
3:マクロン(14%)
4:メランション(12%)
野党候補:N. サルコジ
与党候補:A. モントブール 1:ジュペ(39%)
2:ルペン(29%)
3:メランション(13%)
4:モントブール(9%)
野党候補:A. ジュペ
与党候補:A. モントブール 1:ルペン(28%)
2:サルコジ(22%)
3:メランション(15%)
5:モントブール(10%)
野党候補:N. サルコジ

 2017年のフランス大統領選で “台風の目” となるのは国民戦線のマリーヌ・ルペン党首です。与野党第1党の公認候補として立候補が有力視されるどの組み合わせにおいても、2位以内に入ることができる得票率を世論調査で示しており、無視できる存在ではありません。

 

 フランス大統領選は1回目の投票で過半数を獲得した候補がいなければ、上位2名による決選投票が行われます。

 野党はアラン・ジュペ氏であれば、マリーヌ・ルペン氏に約10ポイント差をつけることが可能です。しかし、ニコラ・サルコジ氏が立候補すると、ルペン氏に約5ポイントのビハインドを背負うことになり、最大野党の総裁(=サルコジ氏)に引導を渡せるかが鍵になります。

 そして、これは野党側に限った話ではありません。フランスの与党・社会党も同じようなジレンマに陥っています。

 社会党の公認候補として出馬が有力視される候補者はいずれもジャン=リュック・メランション氏に世論調査で遅れを取っています。メランション氏が所属する左翼党はフランス共産党と連携する左翼政党

 社会党よりも左寄りのポジションを取っている政党ですので、労働者保護や移民待遇の改善が進むことが期待されての数値と言えるでしょう。ですが、これらの政策はオランド政権が発足当時に推進して失敗したことばかりです。企業が存続していなければ、働き口は存在しないという現実を知る必要があります。

 

 大統領選の行方ですが、得票率 25% 超が確実視されるマリーヌ・ルペン氏は決選投票の1枠を占めることになるでしょう。

 左派・社会党候補が決選投票に残ることは望み薄ですが、ドナルド・トランプ氏以上の暴言が明るみに出たオランド大統領を公認することはダメージを引きずるだけです。そのため、党としての体制を立て直す新しいリーダーを選出することが責務です。

 一方の野党・共和党(国民運動連合から2015年に改称)はアラン・ジュペ氏、ニコラ・サルコジ氏ともに決選投票ではルペン氏を上回るとの結果が2016年10月の世論調査で示されています。ただ、両者とも “政治的にダーティー” というイメージがあるだけに、細心の注意を払う必要があるでしょう。

 候補者として資質がなければ、メディアがどれだけ持ち上げても勝利することはできなかったことをヒラリー・クリントン氏が証明しています。マリーヌ・ルペン氏がドナルド・トランプ氏のように旋風を巻き起すことになるのか。今後の行方に注目です。