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「辞任する」とは言わなかったパク・クネ大統領の狙いは “ウルトラC” か?

国際

 韓国パク・クネ大統領が任期満了を待たずに辞任の意向を表明したとNHKなど各メディアが報じています。

 「(国会で)与野党が道筋を作るなら、任期前に辞任する」と述べており、それまでは大統領に留まるということです。具体的な辞任の時期を表明していないため、レイムダック状態で延命することになるでしょう。

 

 長年の知人や側近らが起訴された事件で窮地に立たされていた韓国のパク・クネ(朴槿恵)大統領は、29日午後、国民に向けた談話を発表し、「政権移譲の方策を与野党が作ってくれるなら、それに従って大統領職から退く」と述べ、再来年2月の任期満了を待たず、与野党の決定を受けて辞任する意向を表明しました。

 

 韓国では大統領弾劾に向けた動きが本格化していましたが、パク大統領の発言で与党から「弾劾の日程を見直そう」との声が出てきました。そもそも、韓国の与野党は一枚岩ではないのですから、揺さぶりで空中分解しやすい状況にあるのです。

 自発的に辞任するのではなく、“目立ちたがり” が多く、自らの手柄が欲しい国会議員が「政権移譲の方策」を取りまとめることは難しいと言えるでしょう。

 与野党内部で主導権争いが本格化することになれば、パク・クネ政権が任期満了まで延命するシナリオも可能性としては残されることを意味します。“ウルトラC” 的になりますが、どう振る舞うことで大統領の地位を保つことができるのかを考えてみることにしましょう。

 

1:弾劾を不成立にさせる

 まずは野党が主導し、12月2日にも提出と報じられている弾劾を不成立にさせる必要があります。

 弾劾を成立させるには野党勢力だけでは足りず、与党議員の造反が不可欠です。彼らを「スムーズな政権移譲を行うため、弾劾ではなく特別法で対処すべき」と説得に乗り出さなければなりません。

 もし、弾劾が成立してしまえば、憲法裁判所の判断に委ねられることになってしまいます。“空気を読む” 裁判所ですから、パク・クネ政権の支持率が 4% の状況を見ることが濃厚で、弾劾が認められる公算がたかくなります。

 そのため、国会で弾劾の発動そのものをストップさせられるかがパク・クネ大統領の命運を握っていると言えるでしょう。

 

2:大統領任期の短縮を定めた特別法が成立するのをじっと見守る

 韓国は法治国家ですから、法に基づく根拠が不可欠です。パク・クネ大統領は「政権移譲の方策を与野党が作ってくれるなら、辞任する」と述べており、そのために必要な法律を制定しなければなりません。

 どういった内容になるのか、誰が取りまとめるのか等の点において、主導権争いが起きることでしょう。有権者にアピールしたい国会議員の間で紛糾することも予想できます。

 必要となる法案を整理するだけでも相応の時間を要するでしょうし、その間はパク・クネ大統領は現職に留まることになるのです。議員間で揉めれば揉めるほど、パク大統領の政治生命が延命するという皮肉な状況が生まれることになるのです。

 

3:パク・クネ大統領の任期短縮を定めた特別法は憲法違反であると憲法裁判所に提訴

 パク・クネ大統領にとっての “ウルトラC” は「パク大統領の任期を短縮する特別法は大韓民国憲法に違反する」という理由で憲法裁判所に提訴することでしょう。

 大韓民国憲法70条で「大統領の任期は、5年とし、重任することはできない」と定めており、任期短縮を決めた法律は憲法に違反するというロジックです。「憲法違反の法律で大統領が欠位になることは容認できない」と反撃に出ることが考えられます。

 なぜなら、憲法裁判所は弾劾の審判だけでなく、法律の違憲性の審判も管轄しています。そのため、パク大統領が死んだふりで時間稼ぎを行い、提出された特別法を憲法違反として、さらに時間稼ぎをする可能性も十分にあり得ることと言えるでしょう。

 具体的な辞任時期についても明言していないだけに、任期満了までの残り1年をなりふり構わず政権の延命に走ることも想定できることです。

 

 いずれにせよ、パク・クネ大統領の最優先課題は「自らへの弾劾を成立させないこと」です。この点を突破できないと、国会で決めようとする任期短縮案がまとまる前に失職することになるからです。

 ただ、予想外のことが起きる韓国のことですから、大どんでん返しが待っていたとしても不思議ではないでしょう。