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国民投票に出たイタリア・レンツィ首相の賭けは成功するか

国際

 イタリアでは12月4日に上院の権限縮小を含む憲法改正案に対する是非を問う国民投票が行われる予定になっています。

 レンツィ首相は「国民投票が否決されれば、辞任する」との意向を示しており、賭けに出たと言えるでしょう。“大阪都構想” と似たような状況であり、国民投票の結果に注目が集まります。

 

 イタリアの国民投票は、以下の5項目を改正する憲法改正案の賛否を問われる形で行われるとロイター通信は伝えています。

 

  1. 上院と下院に対等の権限を付与することの廃止
  2. 議員数の削減
  3. 政治制度の運営コストの抑制
  4. 経済労働全国評議会の廃止
  5. 憲法第2部第5章の変更に関する憲法改正案を承認

 中でも、1番影響が大きいのは議会上院の権限を減らし、「下院の優越」を明確にする項目でしょう。

 イタリアでは上院と下院の権限が同等となっており、ねじれ国会が生じると内閣不信任案が提出され、短期政権に陥ってしまうという問題点を抱えていました。“議会下院を優越させた事実上の1院制” に変更する狙いなのですが、可決されるかは非常に不透明な状況です。

 

 イタリア議会で “ねじれ” が生じる理由ですが、1つは選挙制度が問題と言えるでしょう。なぜなら、イタリアでは議席のほとんどが「ボーナス議席付きの比例代表制」で決まるからです。

表1:イタリアの議席配分イメージ(議席数:100)
 第1党得票率 < 55%55% < 第1党得票率
政党名得票率議席数得票率議席数
政党X 35.1% 55 60% 60
政党Y 34.9% 24 30% 30
政党Z 30% 21 10% 10

 上表のように、第1党の得票率が 55% を超えているかどうかが選挙の焦点です。しかし、現実には第1党となる政党連合でも 30% がやっとの状態であり、ここに “ねじれ” が生じる原因があります。

 これはイタリア下院では得票数が 55% となるボーナス条項の発動は総得票であることに対し、上院では選挙区ごとに発動するという違いがあるためです。

 

 イタリアでは比例選挙に偏重した弊害が国政に影響が出ていると言えるでしょう。“ボーナス条項” が存在するだけに、ポピュリズム政党と言われる『五つ星運動』の政権が誕生する可能性は依然として大きいものと思われます。

 12月4日に行われる国民投票でどういった結果になるのか、イタリア国民が下す決断に注目です。