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市場でのフェアな競争を歪める韓国の姿勢を問題提起する日本政府の姿勢は高く評価されるべき

 市場のルールに従い、まじめにビジネスを営んでいる企業にとって、公的支援という “ドーピング” を使っている企業と勝負することを強いられるほど酷な環境はありません。

 日本政府がOECDの造船部会で「韓国が自国内の造船所に対し、不公正な支援をしている」と提起する方針だと日経新聞が伝えています。この姿勢を貫くことは経済政策の1つとして高く評価されるべき点と言えるでしょう。

 

 経済協力開発機構(OECD)は1、2日に造船部会を開く。日本政府は、韓国政府が経営難の大宇造船海洋などの造船所に不公正な支援をしているとして問題提起する方針だ。造船市場は景気低迷で、足元の需要が供給能力の3分の2にとどまる。競争をゆがめる措置が市場を歪曲(わいきょく)しているとして是正を求める構えだ。

 

 経営不振によりビジネスが立ち行かなくなった企業は市場から退場することが一般的です。しかし、その企業に公的支援を投入すれば、“ゾンビ企業” として生き残ることが可能になり、公平な競争環境が阻害される原因となります。

 例えば、赤字分を政府が補填し続けることで、その企業は原価割れの製品を市場に送り続けることが可能となります。その結果、フェアにビジネスを営んできた企業の経営が立ち行かなくなり、公平な市場環境では黒字の優良企業が経営難に見舞われるという事態が起きることが考えられるのです。

 そのため、ダンピングを始めとする市場環境を著しく歪める公的援助を行っている国を名指しし、該当する政策を止めるよう圧力をかける姿勢は評価されるべきものと言えるでしょう。

 

 韓国はこの5年間で造船業・海運業に対し、融資や保証という形で5兆円規模の支援を行ってきたと日本政府は計算しています。

 要するに、大宇造船や韓進海運(9月に経営破綻)に韓国政府が多額の公的資金をつぎ込み、市場環境を韓国企業が優位になるよう歪めてきたということです。

 「大宇造船で作られた船舶を韓進海運が低賃金で運行する」というビジネスモデルで、造船用の資金と運行費の補填を中心に行ってきたのでしょう。ところが、造船や海運でのライバル企業を駆逐する意図で資金をつぎ込んでいたことが明らかだったため、OECDで問題提起される状況を避けることができなかったのでしょう。

 ただ、韓国政府が日本政府から問題提起される内容に対し、素直に応じることはないと思われます。しかし、韓国政府の立場を擁護する国はないでしょう。

 

 なぜなら、韓国企業に対する不公正な支援を容認するということは他国の企業に歪んだ市場での競争を強いるということになるからです。

 自国の労働者が勤務する企業を不利な状況下に置いたままにする政府は有権者から突き上げを受けることになるでしょう。「自国の労働者より、韓国企業とその労働者を優遇する」と公言することは親韓派が多い民進党でも厳しい状況です。

 業績が良ければ、ボーナスという形で従業員に還元する企業は出てきます。そのためには競争環境を歪めてまで存続している企業を市場から退場させることが政府としての責務であるはずです。

 その姿勢を断固として打ち出した日本政府の方針は高く評価される必要があります。

 

 もし、韓国政府が市場を歪める行為を止めないなら、それに応じた報復策を用意しておかなければなりません。“性善説” が通用しないことは「不公正な支援を続けてきた」という実態から明らかです。

 「不公正な支援を行う政府の姿勢」を批判できなければ、労働者の味方を名乗る政党として失格です。少なくとも、安倍政権がOECDの造船部会に持ち込んだことは評価されることです。その上で、結果を出すこともできれば、メディア的には地味なことですが大きくポイントを稼ぐことになるのではないでしょうか。