『キュレーションサイト』という名の “コピペによるパクリのまとめ記事サイト” が問題に

 DeNA の『まとめ記事サイト』で記事の削除が行われたことを発端に、複数の大手IT企業が運営するサイトでも同様の動きが見られているとNHKが報じています。

 情報を整理することで理解しやすくするというニーズが絶えることはないでしょう。しかし、問題となったのは他人の著作物を窃盗していたり、内容を勝手に改ざんしたり、記事の信憑性が疑われたりするなどの行為が批判の対象となりました。

 

 この問題は、ディー・エヌ・エーが、医療関連などの情報をまとめたサイト「WELQ」など合わせて10のサイトで、根拠が不明確な記事を載せていたなどとして掲載を停止したものです。

 (中略)

 「まとめ記事サイト」では、検索サイトで上位に入ると広告収入の増加につながるため、医療や美容、健康など読者の関心が高い記事が多く掲載されていますが、信ぴょう性など情報の品質管理が外部のライターに任せきりになるなど、専門家の間では管理体制のずさんさが指摘されています。

 

 問題が炎上するきっかけとなったのは医療関連の『まとめ記事サイト』に他のサイトからの記事を窃盗・改ざんした形で大量に掲載され、記事の内容も信憑性が疑われるものが多数存在していたためでした。

 特に、虚偽の情報を掲載し、健康被害を引き起こす温床にもなった訳ですから、サイト閉鎖は当然です。また、同様の手法で運営がされていた『まとめ記事サイト』も閉鎖か記事の削除を迫られるという状況となっています。

 「パクリ記事という形でコンテンツをかき集め、“数撃ちゃ当たる作戦” で検索流入を増やし、広告費で稼ぐ」というそもそものスタート時点から間違ったビジネスモデルを大手IT企業が何の疑いもなく、手を染めていることが問題されなければならない点と言えるでしょう。

 

 起業家になるための経営を学んでいれば、ビジネス・エシックス(Business Ethics:企業倫理)の重要性を理解しているはずです。中小企業では多少の倫理上の問題は多めに見られるでしょうが、「大企業では世間がその姿勢を許さない」と過去のケーススタディー等で取り上げられているはずです。

 しかし、それでも法令遵守の姿勢を軽視して、儲けを狙ったのですから、厳しい批判を受けることは免れないと思われます。

 大手IT企業では『NAVERまとめ』を運営するLINEだけが「自社のスタンスには問題ない」と強気の姿勢を貫いています。ですが、利用ユーザーがツイッターに投稿されたコンテンツばかりを拾い集めて記事にしたり、画像ファイルを http://imgcc.naver.jp/ の配下に保存していることが実態です。

 文章や画像といった著作物を無断利用しているユーザーを野放しにしておきながら、自らはアクセスによる広告収入を得ることは倫理的に問題があると言えるでしょう。

 

 LINE(NAVER)としての主張は「出典は明記されている」というものでしょうが、ほとんどのまとめ記事がツイッターなどの “他のサイト” に掲載された文面を無断転載し、画像も無断使用しているものばかりです。

 引用が認められる目安は全体の2〜3割と言われていますが、その9割を外部から引っ張れば、引用と呼べる範囲を軽く超えてしまっています。

 「魅力的なサイトを構築する能力はない」と自白しているも同然ですが、間違った情報がネット上に流れたことによる弊害は早期段階で自浄作用で解消できるかが鍵になります。少なくとも、ネット上でビジネスを営む企業はこのような不正行為とは距離を取る必要があるでしょう。

 

 コピペで簡単に金儲けができないように、その収益源となっている広告配信業者もネット上での情報精度向上に向けた取り組みに参加すべきと言えるのではないでしょうか。