リンダ・マクマホン氏を中小企業庁長官に指名するトランプ大統領のセンス

 ロイター通信によりますと、アメリカのトランプ次期大統領が中小企業庁長官にWWEで辣腕を振るったリンダ・マクマホン氏を指名する方針であるとのことです。

 この人選は的確な選択と言えるでしょう。経営者としての実績は十分ですし、政治家としての活動経歴も有しているからです。

 

 トランプ米次期大統領は7日、プロレス団体ワールド・レスリング・エンターテインメント(WWE)の共同創業者で元最高経営責任者(CEO)のリンダ・マクマホン氏(68)を中小企業庁(SBA)長官に指名する方針を明らかにした。

 トランプ氏はマクマホン氏について、WWEを従業員13人の事業から、世界中で800人超を抱える国際的な上場企業に発展させることに貢献したと説明。「国内トップクラスの女性経営者と広く認識されている」と評した。

 

 WWE(設立時の名称はWWF)は会長を務めるビンス・マクマホン氏とリンダ・マクマホン氏の二人三脚で世界一のプロレス団体にまで上り詰めました。

 当初はアメリカ国内に多数存在したプロレス団体にすぎず、中小企業という位置づけです。そこから国際的な上場企業にまで成長したのです。

 「プロレス分野でWWEが達成したことを他の業界分野でも再現したい」という狙いをトランプ大統領は持っているのでしょう。それを実現する土壌作りをする中小企業庁(SBA)のトップに実務経験と政治家としての活動歴を持つリンダ・マクマホン氏を抜擢したということでしょう。

 

 リンダ・マクマホン氏はWWEのCEOとしてビジネスに携わってきましたが、2010年に行われた上院議員選挙(コネチカット州)に共和党候補として立候補する際にCEOの座から退いています。

 北東部に位置するコネチカット州はリベラル色の強い民主党の地盤で、2010年・2012年の選挙は民主党候補に敗れましたが、共和党内の予備選では圧倒的な存在感を示したこともあり、党との関係は良好なものであると思われます。

 ビジネスで辣腕を振るった女性という点ではカーリー・フィオリーナ氏の方が有名です。しかし、“史上最悪のCEO” としてビジネス手腕に大きな疑問符があるフィオリーナ氏に権限を付与するトップはいないことでしょう。

 

 大企業にとっては「何ともないこと」が、中小企業にとっては死活問題であるというケースは大いに存在します。中小企業から大企業に成長した組織の経営者としての経歴を持つリンダ・マクマホン氏には中小企業が発展する際に “足かせ” となっている点を解消することが期待されているはずです。

 トランプ人事によって、期待される結果を生み出すことができるのか。型破りの人事政策による業績結果に注目です。